俳優座の文劇喫茶シリーズ第一弾「それから」を観てきやした。

{A4C8A98C-57A4-404D-AC23-5EBCD9C88D4D}


【あらすじ】
実業家の父をもつ主人公、代助は学生時代から裕福な生活をしており、30歳近くなった今でも職に就かず、世間から距離を置きのらりくらりと暮らしていた。それとは対照的に親友の平岡は代助との共通の友人である三千代と結婚し、銀行で働いていたが、部下の公金の使い込みが原因で辞職させられてしまい、東京に戻って、代助と再び会うことになる。三年前に終わったはずの愛が、再び動き出す。
ー愛した人は親友の妻でした。ー



ふむぅ。久々に演劇を観た気がしますな。入った瞬間に圧倒的な存在感の舞台。歪んだ空間の中に電信柱や襖や壁などが乱立し、衣装部屋や書斎が混在する、乱れているのに美しい不思議な舞台になっている。素敵だなぁ。

うぉぉ!テンポが良い!この世界観と相まって、主役の長井代助(平野良)と親友、平岡(今立進)との小気味のいい台詞の掛け合いが!…そんな風に思っていたらジワジワと物語の雲行きが怪しくなってきた…。観ているだけでこっちまで肌がヒリヒリするような水面下で罪悪感たっぷりの秘めたる恋愛感情のやり取り。何気ない会話がまるで綱渡りみたいに聞こえて、染みるのぉ。
「一人で寂しいから、また遊びに来て…。」静かに叫ぶ三千代さん(帆風成海)の台詞に、あの会場で「あぁ、言ってしまった。」と思わなかった人はいないのではないか?

話のあらすじを聞くと、非常に重いように思われるかもしれないが、そんなこたぁない。笑いも充分に組み込まれていて、しっかり笑わされてしまった。特に、平岡役の今立 進さんと、ゲストの加藤さんにはフガフガ言わされた(笑)

役者だけでなく、演出も音も何もかもが拮抗して互いにぶつかり合ってるようでしたな。
美しい小説の世界に迷い込んでしまったような素敵な時間を過ごせやした。

時間は2時間10分程度。場所は六本木の俳優座劇場でした。あれですな。なんで演劇ってのはもうちょい早く始まんないのかね。これはあっしが10時半に寝たい健康優良児だからそう思うのかね。


最後に、あっしは批評家じゃあございやせん。これは批評ではなく感想でごぜぇます。この記事があなたの観劇の参考になることを願っとります。以上!

追伸 最後の演出が、あっしには心臓から流れる血を連想させたのだが、あなたにはどう見えただろうか?(以上じゃねぇのかよ!)