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yugamiuta

一日一回7行短文。

「まぁ今更確認することもねえだろうが、本当に――いいんだな?」
構わないと云っているにも関わらず再三再四の問いかけに苦笑い、それが仕事なのだから仕方がないかと思い直して頷いた。
「構わない。もう決めたことだからな、約束通り、『これ』は最終的に廃棄してくれるならどう使ってくれてもいい」
「約束じゃなくて契約な。これも商売だ。……っと、お前の家だとか当面の生活費だとかはそのまま継続して使っちまっていいらしいぜ。ユスラが云うには」
それはもう自分の名だと告げれば、男は僅かに口元を歪めて笑ったようだった。
さようなら、と頭を下げて鳥の案内で外に出ると、空には満天の星が輝いていていつの間にか夜になっていたらしい。
さようなら、もう会うこともないだろう、今までとこれからの時間を切り離して――今日俺は、死んで生まれた。


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ユスラ・テンマ

題名無き100の、
「ここから落ちたら楽になれるかなーって、たまに思う」
日頃から何も考えてなさそうな奴が突然そんなことを云い出すものだから驚いたし、云う相手も間違えている気がしてならない。
ぐるぐると螺旋階段を登ったところで届くわけもないドームの内壁を眺めていたと思えば、急に地面へと視線を向けて告げてくる。
「……え、と。なに、お前、死にたいの?」
「んー? これって、そういう意味になんのかなー。よくわかんねえんだけど」
落ちてみたい、と笑う顔が普段のそれとはまるで違って、どうすればいいのかわからない。
ただ、ましろい地面に咲くだろう赤い花は、きっと、どうしようもなく綺麗だろうと。


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ラスマ・キヅキ

題名無き100の、
生い立ちなどというものは覚えていないのだが、ただ、自分が「それらしくない」いきものだということはなんとなくわかっていた。
普通の人間は他人の感情を色で把握することなど出来ないらしいし、それでなくともこの体は生物としてのレベルが限りなく低いようだ。
「あまりにも脆弱すぎて、初めてカルテを拝見した時は何かの冗談だと思いましたよ」――とは、薄気味悪い現在の主治医の言である。
つまるところ、いきものとして間違っている、生きていることこそが、おかしい。
「そんなことはない。ミユキの存在はとても意味のあることだ。俺は、お前みたいな子供がもっと増えればもっといいと思うよ。――だって、」
不意にこぼした愚痴にも満たない言葉に、何故だか彼は澱んだ深海色の瞳を細めて微笑んで――とてつもなく、気持ちの悪い言葉を吐き出した。
「おまえは、かみさまのこどもなんだから」

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ミユキ・クナリ
題名無き100の、
「ゴミでもぶちまけたような空ですね」
情緒もへったくれもないようなことを云ったところで、別段誰も気にはしない。
ただ見上げた空が塗り潰したように黒くて、散りばめられた星屑がその名の通り塵屑みたいに瞬いている。
「面倒くさいのでこのまま眺めていたいところなんですけども、やっぱり帰んなきゃダメですかねー?」
「捨て置いて構わないなら喜んでそうさせてもらうが」
「連れて帰る気もねぇくせにそれっぽいこと云ってんじゃねぇですよ腹立つなぁ。起きりゃぁいいんでしょーまったくもう」
無理矢理に体を起こせばつまらなそうに吐き捨てられる――悪かったな、まだまだ生き長らえられそうで。

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ロコ・アヤ
題名無き100の、
秒針も短針も長針も、動きを止めて久しい。
そもそも動いていたのかさえ覚えていない程の、埃を被ったそれを眺めて、クナリはゆるりと首を傾いだ。
こんなものをどうして、未だに部屋に置いていたのだろうか――不思議でならない。
普段ならば余りしない思考の逆行を、つまりは思い起こすという作業を強いた結果、辿り着いた解に「あぁ、」と呻き声のようなものが漏れる。
自分らしくもない、これは感傷だ。
「……カヤマ。すまないがこれを捨てておいてくれないか。何処か、俺の見えないところで」
だから必要ないのだと呟いて、それ以上を打ち切った――この庭に、時間など存在しなくて構わない。

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クナリ
題名無き100の、