『ツユクサナツコの一生』
益田ミリ 2023.6
〈紹介文〉
マスク生活2度目の春を過ごす、32歳・漫画家のナツコ。
社会の不平等にモヤモヤし、誰かの何気ない一言で考えをめぐらせ、ナツコは「いま」を漫画に描く。
描くことで、世界と、誰かと、自分と向き合えるから。
〝わかり合える〟って、どうしてこんなに嬉しいんだろう――。自分の「好き」を大切に生きる、「あなた」に贈る物語。
〈個人の感想です〉
いや~~~、コミックだし、あっという間に読み進めてたけど、
半分くらいになってからは、終わってしまうのがもったいなくて、ナツコやおとうさんの日常が愛おしくなってきて、
そしたら、、、、えーーーー!??ってちょっと茫然自失な結末が。
なんでぇ???
こんな、フワフワした作風のマンガにこんな「サプライズ」はいらんがな、似合わんがな凹
↑
なんて、八つ当たりしたくなるくらい、寂しかったなぁ凹凹
いや、決してけなしてるんではなく、でもあっけにとられて、だけどそんな「サプライズ」があるからこそ、そしてその後日談(東京にすむお姉さんによる…)がまた味わい深くて。
よかったね、ナツコ…って思えたよ~
そのお姉さんが、ナツコと二人暮らししてたおとうさんに「読んでみて」って言う『胡桃』というマンガと、それをよんだおとうさんの、飄々としたこころに沁みこんでくるようなコメント。
涙腺がヤられました。
そうそう、主人公(一人称)は「ツユクサナナコ」で、ナナコの描いたシリーズマンガが間にはいってミルフィーユになってるんですよね。
そのシリーズマンガ『おはぎ屋 春子』がねぇ、いいのよね~。
『おはぎ屋』さん、っていう設定と春子のたたずまいがもう、とってもいいww(←語彙不足)
ナナコが春子のマンガ書いたあと、その、描いちゃったマンガの春子に問いかけてみたり…
春子はナツコによって描かれてるんだけど、春子は春子の世界で勝手にw生きてるんだな~。
ナツコの世界と春子の世界、両方がふわふわと交錯したりしてて。
あと、あーーーーーんなに「大騒ぎ」してた「コロナ禍」と「ワクチン狂騒曲」。
いまはもうなんか、ずっとはるかむかしのことみたいに、冷笑をもって思い出してみるくらいだけど。
(もちろん現在進行形なのにね)
そんな、ひとの顔がマスク付きでしか見られなくて覚えられなかった日々の、空気の希薄さみたいなものが、この作品の「淡さ」と相まって、なんともいえず愛おしいです。
ひとつひとつのエピソードが描く、ガサツなわたしなんて気づきもしないような、踏みにじってるかのような、でもホントはたいせつな「こころの細かい機微」が愛おしいです。
気づかせてくれてありがとう、と言いたいです。
あと、ツユコのおとうさん、どうかお元気でいてくださいね、と願いたくなります。
クールなようでホントにやさしいお姉さんがいるから、大丈夫だね。