ヴァチカンの一枚

ヴァチカン、2006年3月16日
ヨーロッパでも、
雨が降ると空が暗くなる。
ヨーロッパだと、
雨が降ると路面は明るくなる。
石畳は雨に磨かれてぴかぴか光る。
タクシーのランプがぼんやりと映る。
道を横切るおじさんが見てるのは、
路面じゃなくて、
対向車なのか。
雨の日の一枚

埼玉県日高市、2006年7月22日
じめじめと雨の続く今年の7月。
雨がいったん暇をとりにいったのを見計らって
ちょっとだけ近所を歩くのだ。
土曜日の昼下がり。
でもさっきまで雨が降っていたから表に人が少ない。
みんな窓の外を見るのに飽きて本でも読んでるに違いない。
誰よりも早く外に出ると、
雨上がりの湿気、匂い、空気を誰よりも早く楽しめる。
決して心地よくない快さ。
太陽はまだ顔を見せない。
葉の上のしずくは、まだ乾かない。
パリの一枚

パリ、2005年7月24日
1年前の今日、7月24日、僕はパリにいた。
カメラを持って追いかけたツール・ド・フランス2005最終日。
ついにフィナーレを迎え、パリ・シャンゼリゼ通りには各国から
大勢のファンが詰めかけていた。
思えば濃密な2週間だった。
2週間でフランスを半周してしまったのだから。
過酷で、常識が存在しないプロの世界も垣間見た。
選手も、プレスも、主催者もみなまぎれもないプロフェッショナルだった。
それだけに最終日は早く来て欲しいようで、
でも終わって欲しくないようなそんな日だった。
シャンゼリゼに7年連続のアメリカ国歌が流れ、
大きな拍手が起こると、ツールは閉幕した。
ーーーついに終わった。
みるみるまに表彰の舞台は撤去され、選手は去った。
シャンゼリゼの交通規制が解除され車が走り出した。
観衆はみなめいめいばらばらに散ってゆく。
僕は終わりゆくものに特有の喪失感を覚えた。
消えていくツールの面影をとらえようと、シャッターを切った。
この滞在で初めての、主体が見えない撮影だった。
またいつか、ツールを追いかける日を願っている。