「弥次さん 喜多さん」
十返舎一九 原作・藤木輝美 画
(世界名作絵物語全集4/集英社)
 

「弥次さん 喜多さん」
日本の大衆文芸の代表作。
大衆文芸といえば漫画。
藤木輝美 は、「弥次さん 喜多さん」を漫画化しています。
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さて、教科書に登場する、作者の十返舎一九は、原稿料だけで生活を維持できた最初の職業作家だそうです。
背景には、貸本屋を通じた一般大衆読者の増加と、
交通制度の整備による庶民の旅の隆盛があったとのこと。
出所:http://www.ktr.mlit.go.jp/yokohama/tokaido/02_tokaido/04_qa/index5/answer3.htm
これに加えて、何よりも、寺子屋の普及で、庶民が「文字を読めるようになった」ということが、非常に大きいと思います。
 
なお、出所の記載では、「原稿料だけ」となっていますが、ここには、契約金や印税も含まれている筈だと、私は想像しています。
つまり、実際は、
独占製造販売の契約料+印税(製造または販売1冊につき、いくらといったもの)+原稿料
といったものだったのでは、ないでしょうか。
 
というのも、人気を博した作品ならば、
版元が、
「先生、私のところで、独占販売させてください!」
「いや、私のところで」
といった、競争になるでしょう。
 
すると、
「私は、独占販売料として100両出します!そして、1冊につき定価の2割出します!」
「いや、私は、独占販売料200両です!、1冊につき定価の3割でぃっ!」
って感じになりますよね。
十返舎一九先生も、このような状況ならば、
侍を辞めて、創作に専念できたという展開なんじゃないだろうかと。
貸本屋を介在しての販売なのですが、CDみたいに、「貸レ禁止期間」てのは、なかったと思うので、その分は、契約料に含む感じですかね。
このあたりの作家の取り分の仕組みは、詳しい人がいたら教えてほしいです。
いずれにせよ、
「十二分に食えなきゃ、文化は産まれない、育たない」ということですよね。購読者である庶民の懐が増えることも当然、必要です。
 
さて、現在の大衆文化の基盤は、今は、インターネットですよね。
そこで、この著作もいずれ、電子本にしたいと思います❕
英訳も、ぼちぼちと、やっていきたいと考えています❕