私が勝手に香港映画界の2大神様と言ってる片方、アンソニー・ウォン様が主演なので見に行きました。

今、この世界で香港映画としてアンソニー・ウォンが出演できるなんて。それだけで大きな奇跡的な作品。

 

昔の香港ノワールに出ていた頃の雰囲気とは変わってきましたが、いい味出してますよね。最近はヒューマン系多いですね。『淪落の人』はめっちゃ良かったなぁ。最近の役は偏屈なおじいちゃん役が多いですね。改心していくみたいな。

 

お話としてはなかなかヘビーな内容。どう見ても始まりはアンソニー・ウォン演じる陳白日が悪いんですけどね。そこからあれよあれよという間に、よくない方向に転がる転がる。転がり切る。しかし、偏屈なおじいちゃん陳白日にも人の心はまだあって、自分できることは何であるのか、最悪の展開を重ねていく中でもベターを手探りでさがしていくけどやっぱよくない方へ。決して賢くないのだけどとても人間的なリアルさを感じる。甘えと焦りと後悔とそういうまぜこぜになった言葉にはならない感情のようなもの。人が一人でできることには多分限界があって、好転するとは限らない。でもそれでももがきながらより良い方を求めてあがき続ける。そして少しでも好転すればとそれぞれ進んだはずなのに、ラストは好転するとは信じきれないような最後。映画だから現実にはこんな風なことはそんなに起きないのだろうけれども、でもここに出てくる登場人物はそれぞれどこかに実際にいるようなそんな存在。だれも決して不幸せになりたくなんてないのに。

 

アンソニー・ウォンは中国から香港に密入境して定住した役柄なんですが、なぜ密入境したのかの問いに「良いところに住みたかった」みたいなことを言うんですが、香港で封殺され台湾に移住しているアンソニー・ウォンがこのセリフを言う意味とはとか考えてしまいますね。またどこかで映画に出てほしい。

 

エンディ・チョウさんが、星野源さんに見えたのは私だけ。。。?だよね。きっと。

 

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監督:劉國瑞

出演:黃秋生、林諾/ Sahal Zaman、周國賢 他
2022年/香港、シンガポール

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