ウォン・カーワァイ4K 3本目。

 

冒頭から、動画でありながら、絵の具を使った絵画のような、それでいてスピード感のある映像。わくわくしました。なんで、どうやったらあんなに美しくて魅力的な映像ができるのだろうかと。もう、そこで一瞬で引き込まれました。

 

『天使の涙』に続いて、金城武さん。聞き取れただけでも広東語、北京語、日本語を使い分けていて、言語博覧会みたいで面白かった!全然そんなイメージなかったんですが、ちょっとダメな男役めちゃくちゃいいですね笑 

 

二部構成のようになっていますが、前半は大人なブリジット・リンとちょっと子供な金城武さん。麻薬売買の女と警察が仲良くしても大丈夫!?と謎のドキドキ感を味わいながら、見ていましたが、やはり映像の見せ方と構成がひたすら面白かったなぁと。ブリジット・リンが拳銃で人を撃つシーンが何か所かありますが、その映像構成も面白い。常にサングラスと赤い口紅も印象的で、かっこいい女の象徴そのもののよう。『花様年華』とはまた違う、かっこいい女がそこに描かれていました。そして、やはりご飯食べてるシーン多いですよね。主役じゃなくて脇役たちがご飯を食べているシーンをしっかり映す。なんかそこに香港映画という感じを抱きました。

 

後半は、ひたすらフェイ・ウォンがかわいいのと、トニー・レオンがかっこいい。しかし、あれはだな、フェイ・ウォンじゃなきゃできない笑 冷静にストーカーだから笑 トニー・レオンが徐々に立ち直ってだんだんかっこよくなっていく様はよかったですね。なんで寝顔だけであんなに色気出せるんだ。なんでしょうね。決して今風のかっこいい顔ではないんですが(かっこいいけどね)でもなんか、惹きつけられる。警察官としてよそいきの雰囲気ではないシーンが全体的にそそられますね。石鹸とかタオルにはなしかけてるの可愛すぎるし。そしてなんかリアルなんですよね。歯磨きしてたり、顔洗ってたり。お話でありながら、リアルなままを切り取ったかのような映像がまたいいんですよね。フェイ・ウォンもひたすらかわいい。顔の造形もですが、しぐさもかわいい。でもやってることはかわいくないぞ。決して。しかし、フェイ・ウォンが鍵を入手する展開のお話としてのスムーズさは脱帽でしたね。そういうところに破綻がないから、彼女の行動がむちゃくちゃでも彼女の個性としてかわいさとして映っているのかもしれませんね。最後、フェイ・ウォンにまいっちゃったトニー・レオンすごく好みでした笑

 

エンディングも少し変わっていて、ポップでこの作品らしいなと思いつつ。とても気持ちよくエンドロールを見ました。

 

今作も、音楽が印象的でした。ウォン・カーウァイ=音楽の使い方が秀逸というイメージが自分の中に確立しつつあります。

 

しかし、これが日本でそんなに話題になって、今も連日満席なのは何故なのだろうかとも思ったりする。フェイ・ウィンはかわいいけれど、男たちは決してかっこいいだけではなく、後半は平たく言うとストーカーだぞ。前半の映像の作り方は個人的にはとてもすごいと思っているけど、人気がある理由はおそらくそこではない。これが話題になった当時の感覚と今の感覚。同じ受け取られ方なのだろうか。そのあたりはとても気になる。

 

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監督:王家衛

出演:梁朝偉、王菲、林青霞、金城武 他
1994年/香港

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