Colorful paradise

Colorful paradise

サークル「Colorful paradise」に関するお知らせとサンプルです。

だいぶご無沙汰しております、聖柚枝です。

元気に過ごしております。

 

さて今年4/3に開催されるJ.GARDEN51に参加しますのでそのお知らせです。

スペースNo.は05b

サークル名:Colorful paradise

ケモミミジャンルで参加しております。

新刊は「春を追いかけて」A5サイズ・130ページ・500円の小説です。 

レオンハルト×カイのお話です。二人がどのように恋人になったのか書いたお話になっております。

可愛いカイとお兄さんのレオンハルトの恋愛模様をどうぞご堪能下さい。表紙はこんな感じです。

 

久し振りのイベント参加なのでとっても楽しみです!

 

 

久し振りのブログがお知らせだけでは何なのでSSもアップします。

今回の新刊に合わせてレオンハルト×カイのお話です。

可愛い年の差カップルの甘いお話をお楽しみ頂ければ幸いです。

 

 

【風邪】

 

「……終わった!」
明るく元気な声が聞こえてきた瞬間、レオンハルトはハッと我に帰る。そして慌てて声のした
方へと目を向ければ、可愛い恋人ことカイが、ニコニコと笑みを浮かべてこちらを見上げていた。
「今日の宿題、全部終わったよ!今日はレオンお兄ちゃんに教えてもらわなくても全部出来た!」
「……凄いね、カイ。でも念のため答え合わせをしておこうか」
優しく諭すように言うと、カイはうん、と素直に頷き、ノートをこちらへ差し出してくるから、レオンハルトはそれを受け取って目の前に広げ、そこに書かれている数式に目を通す。
――途中で質問されなくて良かった。
頭の中で暗算をしながら、レオンハルトは密かに安堵する。
今日は朝からずっと、頭が痛い。喉にも少し違和感があるから、恐らく風邪を引いたのだろう。昨夜はかなり冷え込んで寒いなと感じながらも、夜遅くまで薄着で本を読み続けていたことが原因と推測される。
しかし今日はカイの父の手伝いをする日だから、と自分に言い聞かせ、以前スチリアからもらった風邪薬を飲み、無理やり体を動かしてこの家までやってきた。頭痛を堪えながらも何とか仕事を終え、早々に帰ろうかと考えていたところに、カイが学校から帰宅。『宿題をやるから分からなかったら教えて欲しい』と可愛い恋人に請われて断れるはずもなく、レオンハルトはカイの部屋に招待され、宿題に向かうカイの姿を静かに見守っていたのである。その間、珍しく質問を受けることがなかったため、レオンハルトは危うく意識を飛ばしそうになってしまったのだ。
――薬が切れて熱が出てきたようだ。
薬を飲んだのは今朝、家を出る前だから、夕方になって効果が切れてしまうのは当然のことだろう。けれど幼い恋人を心配させたくないという一心でレオンハルトは懸命に痛みを堪え、目の前のノートに集中する。
「……うん、全部合っているね。これなら僕がいなくても問題なかったかな」
「そんなことないよ、レオンお兄ちゃんがいてくれたから頑張ろうって思えたんだから。僕一人だったら、きっと宿題をやる気にならなかったもん」
「宿題をやらない、というのはさすがに良くないね。分からないところは僕に聞けばいいから、これからも宿題はちゃんとやるんだよ」
「うん!……あのね、お兄ちゃん。僕、一人で宿題出来たから……御褒美にキスしてくれる?」
カイはそう言うと、ほんのりと頬を染めながら上目遣いでこちらを見つめてくる。その、いつになく愛らしい姿にドキリと心臓を高鳴らせながらも、一方でレオンハルトの背を嫌な汗が流れていく。
――まずい。
レオンハルトは、もうずっと前からカイのことが好きで、カイもまた自分のことを同じ意味で好いてくれていることは知っている。そしてキスという行為を教えたのも自分で、カイが予想以上にそれを気に入っていることも。もちろんレオンハルトも、その可愛らしい唇に今すぐ飛びつきたくてたまらないのだが、しかし風邪をひいている自分が唇を合わせたら、カイに風邪を移してしまうかもしれない。そう考えたら、キスなど出来るはずがない。
――しかしどう言えば、断れるのだろう。
可愛いカイを悲しませたくはない。けれど、自分が風邪をひいていることを教えて、心配させるのも嫌だ。一体どうすれば体調不良を知らせることなく、カイのキスを断ることが出来るだろうかと、レオンハルトは痛む頭で必死に考える。
「あのねカイ、御褒美をあげたいのは山々なんだけど……一階には君のパパとママがいるだろう?そろそろ夕食の準備が済んでママが呼びに来るかもしれないから……キスをしているところを見られてしまうよ?」
「パパとママは僕がレオンお兄ちゃんのことを大好きだってことは知ってるから、見られても平気だよ!」
「……」
確かにこの子の両親は、カイが自分を慕っていることは知っているだろう。けれどそれは年上の男性に対する憧れ、もっと言えば兄に対するようなものだと認識しているはず。よもや自分達が恋人という関係であるとは想像すらしていないだろうから、自分達のキスシーンなど目の当たりにしたら、卒倒するに違いない。
まだ幼いカイは、恐らくそんなことも理解していないだろう。どう言えば納得してくれるだろうかと悩みながらもカイを見下ろしていると、やがて笑みを浮かべていたその顔が、不満げに変化する。
「レオンお兄ちゃん、もしかして僕とキスしたくないの?……僕のこと、嫌いになった?」
「っ、違うよ、そんなことは……」
コンコン。
絶対にない、と続けようとしたところで、突然扉をノックする音が聞こえ、二人は同時に音のした方へと目を向ける。するとカイが答えるより早く外から扉が開き、カイの母親が姿を現す。
「カイ、宿題は終わった?そろそろ夕食にするわよ」
――助かった。
内心安堵しながら、レオンハルトはそれを顔に出すことなくカイを見る。カイは、まだ少し不満そうな表情を浮かべてはいるけれど、さすがに母親を無視することは出来ないのだろう、渋々椅子から立ち上がり、はあい、と返答をする。
「ちょうど宿題が終わったところだから、今行く。……ねえ、レオンお兄ちゃんも一緒に御飯食べるよね?」
「ええ、是非そうして頂戴。貴方の席も用意してあるし……あら?」
二人の誘いを丁重に断るために口を開くレオンハルトだが、しかしそこから声が出るより先に、カイの母親がズカズカとレオンハルトに近付いてくる。
「……レオンハルト、とても顔色が悪いわよ?もしかして具合が悪いのではないの?」
「え!?」
「いえ、別にそんなことは…」
カイの母親の鋭い詰問から逃れようとするレオンハルトだが、しかし恋人の母であり雇い主の家族に強く出られるはずがない。スッと伸びてきた白い手に額を触られ、レオンハルトは大人しくそれを受け入れる。
「まあ、とても熱いわ!かなり熱があるみたいね……一体、いつから?」
「実は、朝から少し調子が悪くて……ですが薬を飲んだら楽になりますで、今日はこれで失礼します。帰宅してもう一度薬を飲んで寝れば治りますから……」
「何を言っているの、病人を一人で帰らせるわけがないでしょう!……カイ、レオンハルトを隣の部屋へ連れて行ってあげて。私はお粥と薬を準備してくるわ」
「いえ、そこまで面倒を見てもらうわけにはいきません。カイや、皆さんに移すかもしれませんし…」
「貴方は私達の家族同然でしょう。少しは甘えなさい。……ということで、治るまではここに泊まってもらいますからね!」
「そうだよレオンお兄ちゃん、たまには僕達に甘えてよ!僕、お兄ちゃんが治るまで一生懸命看病するよ!」
母と子、二人に熱心に説かれ、レオンハルトは抵抗する言葉を失ってしまう。早くに両親を亡くし、それからずっと一人で生きてきたレオンハルトは病気の時に誰かに看病してもらうことなどなかった。それが当たり前であった彼にとって、カイ達の主張は驚くべきものなのだ。けれどその一方で、その気持ちを有り難いと思ってしまうから、レオンハルトは肩の力を抜き、静かに息を吐き出す。
「……分かりました。それでは申し訳ありませんが、お世話になります」
レオンハルトが言うと、カイと母親は嬉しそうに目を合わせ、母はすぐに階下へ降りていく。そしてカイはレオンハルトの手をしっかりと握り、こっちだよ、と隣の部屋へ誘導してくれる。
「ねえレオンお兄ちゃん……さっきキスしてくれなかったのは、もしかして具合が悪いから?僕に病気を移さないようにしてくれたの?」
隣室へ移動し、ベッドに腰掛けたところでおずおずとカイが尋ねてくるから、レオンハルトは素直に頷く。今となっては隠しても無駄だから。
「そうだよ。……カイに心配させたくなくて、黙っていたんだ。悲しい想いをさせてしまって、ごめんね」
「レオンお兄ちゃんは悪くないよ!僕こそ、具合が悪いことに気付かなくてごめんなさい…今夜はいっぱい看病するから、もう寝て」
カイに促され、レオンハルトは大人しくベッドに横になる。そして毛布を掛けると、カイは小さな手でそれを首元までしっかり上げてくれる。
「看病してくれるのは嬉しいけれど、カイに風邪が移ったら嫌だな。だからカイのママが薬を持ってきたら、御両親と一緒に晩御飯をしっかり食べて、部屋で過ごすんだよ。ここにはあまり顔を出さないで」
「……じゃあ、レオンお兄ちゃんが早く良くなりますようにって祈ってるね」
カイはどこか寂しげにそう言うと、不意に顔を寄せてきて。
チュッ!
額に軽くキスを落としてくれる。続いて、左右の頬にも。突然のことに驚きながらも、思わず笑みを浮かべていると、やがて顔を上げたカイも満面の笑みを浮かべる。
「これはおまじないだよ。……病気が治ったら、ちゃんと唇に、キスしてね」
「もちろんだよ、カイ」
――早く治さなければ。
そうしてこの子の唇に感謝の気持ちを込めて、たくさんキスをしてあげようーレオンハルトは襲いくる頭痛に耐えながら、己自身に強く誓ったのだった。

大変遅くなりましたが先日はJ.GARDEN49に参加してきました。

久し振りのイベント参加でとても楽しかったのですがスペースが風通しの良い場所だったので寒くて震えておりました…今の御時世、換気するのは当然ですし、もう少し厚着をして行けば良かったなと今更ですが後悔しております。

 

それでもとても楽しいイベントでした。

当サークルの頒布物に興味を持って下さった方、ありがとうございます。

これからもこんなケモ耳な子達の話をのんびりまったり書いていきたいと思っております。

次のイベント参加はJ.GARDENが来年秋以降に開催とのことなのでそのタイミングになると思います。当落次第になると思いますが。

その時はレオンハルトとカイの馴れ初め本を発行したいなと考えております。

 

 

御挨拶だけでは何なのでこの後はユーキ×フィロのSSです。

ユーキとフィロは友達から恋人へと関係が発展したカップルです。

よろしければお読み下さい。

 

 

『口の汚れ』

食欲の秋。その言葉通りに、ユーキは今日も昼食を元気良く頬張っていた。
本日のメニューはサンドイッチ。具はサーモンとキノコ、サツマイモサラダ、栗とタンドリーチキンと多種多様あり、どれも秋の味覚満載である。
そのサンドイッチを作ってくれた恋人のフィロは、目の前に座ってバスケットの中からサンドイッチを一つ取り、ゆっくりと食べていて。ユーキがムシャムシャと豪快に食べる様を見て、顔を顰めるどころかむしろとても嬉しそうに微笑を浮かべている。その顔が可愛くて、もっと喜んでもらいたくて、ユーキは右手に持ったチキンサンドイッチを食べ終えると、へへ、と声に出して笑う。
「このサンドイッチ、どれもすげえ美味い!フィロの作る料理はどれも美味いけど、特にこの栗とチキンのサンドイッチは絶品だな!」
「ありがとう、ユーキ。それは家族に好評だったけれど、ユーキにも喜んでもらえて良かった」
そう言って、少し照れ臭そうに微笑むフィロの姿に少しだけ見惚れながら、ユーキは次のサンドイッチに手を伸ばし、モグモグとしっかり咀嚼する。フィロが持参したバスケットにたくさん入っていたサンドイッチは、既に半分以上が姿を消しており、そのほとんどがユーキの腹の中に収まってしまったのだが、フィロもユーキもそんなことは気にしていない。ユーキの方がフィロより体格も良く食欲旺盛であるため、それを見越してフィロは大量にサンドイッチを作ってきているのだし、それを美味しいと言いながら食べることでフィロが喜ぶことを、ユーキは良く知っているから。
ぺろりとサツマイモサラダを挟んだサンドイッチを食べ終えると、次はカボチャコロッケのサンドイッチへ手を伸ばす。が、それに触れるより早く、不意にフィロが、あ、と小さな声を上げるから、ユーキは動きを止める。
「フィロ、どうした?」
「あ、あのね、ユーキ…口の端にソースが付いてるよ」
「ソース?…ああ、さっきのチキンにかかってたソースだな」
あれは少々甘辛くて美味しかったなあと味を思い返しながら、ユーキは舌を出してベロリと口の周りをひと舐め。しかし指摘されたソースの味はほとんどしない。まだ取れていないのだろうかとフィロを見れば、その視線に気付いたのか、フィロは食べかけのサンドイッチを手にしたまま、小さく首を左右に振る。
「左端の方に付いてるよ。…ほら、この辺」
言いながら、彼は片手をサンドイッチから離して自分の唇の端を指で示すから、それを参考にして再度舌を伸ばす。けれど残念なことにソースの味が舌に蘇ることはなく、ユーキは軽い苛立ちを覚えてしまう。
「あーもう、全然分かんねえ!」
「ユーキ、僕が拭いてあげるから、そのまま大人しくしていて」
そう言うと、フィロはポケットから真新しい白いハンカチを取り出してこちらへ手を伸ばしてくるから、ユーキは指示通り動きを止めてしばし待つ。すると柔らかい布が唇の左端に当てられ、軽くそこを拭うと離れていく。
「…はい、これでもう大丈夫だよ」
「ありがとな、フィロ。俺、食べ方が雑だって良くルーイに言われるんだけど、フィロのおかげで助かったぜ」
「どう致しまして。ユーキの食べ方は豪快だけど、とても美味しそうに食べるから僕は良いと思うよ。それに食事中に口が汚れるのは仕方のないことだし…うちの弟や妹はまだ上手に食べられないからいつも口の周りをベタベタにしてしまって、毎回僕が拭いてあげてるんだ」
「フィロの弟と妹はまだ小さいもんな、上手く食べれないのは当然だ…って、まさか俺のこと、弟扱いしてないよな?」
自分とフィロは同い年であり、体格は自分の方が大きいけれど生まれたのは数ヶ月、フィロの方が早い。その事実を気にしたことはなかったけれど、普段から弟妹の面倒を見ているフィロからすれば、自分もまた図体のでかい弟、と認識されていてもおかしくはない。
ふと生まれてしまった疑問をぶつけると、ハンカチをポケットにしまったフィロは、驚きに目を見開く。それから慌てて首をブンブンと左右に振る。
「お、弟だなんて、考えたこともないよ!ユーキは僕より体が大きいけれど、カイと同じで学校へ入学した時から仲良くしてくれている、大事な友人で…」
「…それで、今は恋人、だよな?」
途中から台詞を引き継ぐと、フィロは俯きながらも、こくりとはっきり首を縦に動かし、急いで食べかけのサンドイッチを懸命に口に運ぶ。その頰が、耳まで真っ赤に染まって見えるのは気のせいではないだろう。人見知りで恥ずかしがり屋のフィロは、ユーキのことを恋人だと認識するだけで赤くなってしまうのだから。
――そんなところも可愛いなあ。
フィロのいじらしい姿を、無意識に鼻の下を伸ばしながら見つめていたユーキは、くる、と腹が小さく鳴ったことで我に返り、次のサンドイッチを掴んで一気に口に放り込む。既にフィロが作ってくれたこのサンドイッチを何個も食べているはずなのに、それでもまだ胃は、美味い物を寄越せ、と訴えてくるのだ。
その訴えに従ってあっさりとカボチャコロッケ入りのサンドイッチを食べ終えたユーキは、再びバスケットへと手を伸ばし、次のサンドイッチを選ぶ。そしてすっかり気に入った栗とタンドリーチキンのサンドイッチを掴むと、それを口に入れる前に、なあ、と目の前で俯いたままのフィロへ声をかける。
「俺のことを恋人だと思ってくれてるなら、次に汚れた時は舐めとってくれよ」
「なっ、舐め…!」
ユーキの台詞に驚いたのだろう、顔を上げてこちらを見たフィロは、ユーキと目が合った瞬間、さらに顔を、首まで真っ赤に染めてしまう。バスケットの脇に添えたポテトにかけたトマトケチャップよりも、イチゴよりも、さらに赤く。
「恋人だったら、そのぐらい普通だろ。それとも俺の口元を舐めるのは嫌なのか?」
「い、嫌じゃない、けど…そんなの、恥ずかしくて…で、でも…ユーキがどうしてもって言うなら…やる、けど…」
言いながら、どんどん小声になっていくフィロの瞳にはじわりと涙が浮かんでいて。これは相当困らせてしまったなと悟ったユーキは、サンドイッチを手にしたまま、もう片方の手を伸ばしてフィロの赤くなった頰をそっと撫でる。羞恥に頰を染める恋人の姿は可愛くて食べてしまいたいほどではあるけれど、泣かせてしまうのは本意ではないから。フィロの泣き顔が綺麗だということは誰よりも良く知っているけれど、笑顔の方がその何倍も素敵なのだ。
「悪い、フィロの反応が可愛くて無理言った。反省してる。だから今のは全部忘れろよ」
「ユーキ…」
「さっきも言ったけど、俺、食べ方には無頓着だから、フィロが指摘してくれてすげえ助かってるんだぜ。これからも汚れてるって教えてくれればいいよ。ついでに拭いてくれると、もっと嬉しいけど」
「…うん、ユーキの口が汚れていたら、僕がちゃんと拭いてあげるね」
そう言ってようやくフィロは笑みを浮かべる。
ほんのりと泣き濡れた瞳で笑う顔は、それまで目にした表情よりも可愛くて。こんな顔が見られたのだからよしとしよう――そんなことを考えながら、ユーキはフィロから手を離し、新たなサンドイッチを食べることにしたのだった。