マディソン郡の橋 | CINEMA道楽

CINEMA道楽

映画を見続けて40余年。
たくさん見過ぎて
忘れてしまうので、
映画館やテレビで観た
映画の鑑賞日記を
つけることにしました。
ネタバレもありますので、
未見の人は気をつけてね

 20年ほど前に原作も映画も大ヒットしました。
 当時は「どうしてイーストウッドがこんな不倫映画なんか撮ったのかな?」と不思議に思いました。
 
 平凡な田舎の主婦と一匹狼のカメラマンの不倫物語で、それが4日間という短い期間だったからこそ、ふたりの間で死ぬまで「美しい思い出」として生き続けたのだろう、というのが20年前に観た感想でした。
 主人公たちとは年齢も離れていたし、どんなに美しく見せても、所詮は不倫物語でしょ、と思うと感情移入もできず、退屈に感じた映画でした。

 でも、20年経って観ると少し違う印象を持ちました。
 メリル・ストリープ演じるフランチェスカと近い年齢になり、この映画が「短く刺激的な火遊びの思い出を宝物のように持ち続けた不倫女の話」ではなく、「平凡な日常に突如訪れた人生最大の選択」の物語ではないかと思いました。
 甘いラブシーンもありますが、それよりも「彼と一緒に行くのか、残るのか」という選択を迫られた彼女が、最後の最後まで悩む姿が身に詰まされました。
 少女の頃に思い描いていた夢は、こんな片田舎で平凡な主婦として暮らすことではなかったはずなのに、日々の暮らしの中でいつの間にかその夢を諦め、呑み込んでしまっていたことを、彼との出会いによって気付かされたのだと思います。
 だから、彼に付いて行くことは、彼女にとっては単なる「駆け落ち」以上の意味があることだったのではないでしょうか。
 氷漬けにして心の奥にしまい込んでいた少女時代の「夢」を、溶かしてもう一度息づかせてくれたのが彼だったのでしょう。
 しかし、彼女は結局、溶け出した「夢」を再び氷漬けにし、平凡な田舎の主婦として生涯を終えたのです。
 
 不倫を美化するつもりはありませんが、近い年齢の女性として、彼女の苦悩には共感する部分がありました。