声をかくす人 | CINEMA道楽

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映画を見続けて40余年。
たくさん見過ぎて
忘れてしまうので、
映画館やテレビで観た
映画の鑑賞日記を
つけることにしました。
ネタバレもありますので、
未見の人は気をつけてね

 名俳優でもあるロバート・レッドフォード監督作品。レッドフォードらしい強い正義感に溢れた作品でした。

 リンカーン大統領の暗殺犯の一味として捉えられ、アメリカ合衆国最初の女性死刑囚となった女性と、彼女の弁護士の実話に基づいた物語です。
 南北戦争を終わらせたヒーローとして、アメリカの自由のシンボルとして、国民から熱狂的に支持されていたリンカーン大統領の暗殺は、当然大事件でした。
 ほとんどの国民、軍人、政治家、官僚、皆が犯人を憎み、極刑を望んでいました。そのため、捕まった容疑者たちは民間人にもかかわらず軍事法廷で裁かれ、でっちあげの証言をもとに、反証の余地も与えず死刑にされてしまいました。

 主人公の弁護士も元北軍の将校で、リンカーン暗殺犯に怒りを覚えるひとりでした。上司の命令で渋々容疑者の弁護を引き受けるのですが、まともに証拠も調べず、買収して証人に偽証をさせ、最初から有罪ありきの軍事法廷のやり方に憤慨します。
 依頼人であるメアリーの毅然とした態度、逃亡中の息子を思いやる母親としての愛にも触れ、弁護士は恋人を失い、世間の批判や上層部からの圧力にも負けず、最後まで正義を貫こうとします。

 リンカーン暗殺事件の裏にこんな事実があったことを初めて知りました。
 「自由と平等の国」となったはずのアメリカの闇の部分です。アメリカ人は、ヒーローやレジェンドをとにかく持ち上げて敬うのが大好きですが、リンカーンの時代から好きだったんですね。
 ヒーローをヒーローたらしめるためには犠牲も止む無し、という考え方も全然変わっていないように思います。

 弁護士の奔走空しく、絞首刑が執行されるシーンは静かで、虚無感に満ちていました。
 根拠の無い熱狂的な世論に、正論で立ち向かうことがとても難しいのは、この当時も今も変わらないですね。