肘の痛み
1週間ほど前から、物を持ち上げた際に肘の外側に痛みを感じる方の症例報告です。
詳しくお話を聞くと、約2ヶ月前にテニスプレー中に転倒し肘を怪我した事が聞き出せました。
詳しく怪我をした状態を聞くと、転んだ際に手をつき肘を打ち2回転ほど転んだそうです。
怪我の痛みは現在落ち着いてきていたが、ここ数日で肘外側の状態は悪化。
脊椎は問題なく、しびれ等の異常なし。
悪化因子は、肘を伸ばす動作途中の痛み、握りしめる動作、屈曲位や伸展位で固定をしている時。
改善因子は、特になし
ひっかかり感が少しあり、曲げ伸ばしでポキポキ音がするようです。
肘の可動域
自動運動は、伸展が軽度の制限があり伸びが悪い。
回外・回内も軽度制限で肘の痛みがしっかりと出ます。
他動運動は、それほど痛みが誘発されません。
抵抗運動は、屈曲・伸展で軽度の制限、回外は重度の制限と痛みが強く誘発されます。
その他のテストは、Mill’s test(+),Thomsen test(+)Chair test(+)中指伸展テスト(+)1キロの重りを持つ(+)
マッケンジー法では、脊椎からアプローチをすることが基本となります。
今回も、脊椎に症状、反復運動で変化はありません。
脊椎を評価してから肘の反復運動をしていきます。
まずは、肘の伸展 運動中は少し痛み誘発するが、運動後は検査前と同じ状態。
負荷を強めていきますが、変化なし。
自分でエクササイズして変化はないので、ここから「私の出番」です。
伸展運動を何回もやって痛みは悪化していないので、安全性は確認出来ています。
慎重に、他動で伸展運動をしていきます。
ポキポキ音がしています。
何回かやって、症状を確認するも変化はなし。
次に、上腕骨を固定し尺骨を外側に滑らせて伸展をかけます。
何回か繰り返し、ベースラインをチェックすると少し変化が出てきました。
力が入ってきた!痛みも少なくなってきた!
おっ!良い変化が出たので、反復運動を続けていきます。
ポキポキ音が言わなくなってきました。
可動域も広がり、抵抗運動も痛みが減り始めました。
特に回外制限が強かったのですが、力が入ってきました!
制限も重度から軽度に!
症状は、完全に消失はしていませんが、明らかに良くなっていることを患者も実感していただけました。
あとは、セルフケア
自分で同じように効果的なエクササイズをやらなければいけません。
色々工夫をしていると、肘を外側に押して伸展をかけるとすごく気持ちよくて、その後も調子が良いとの反応が出たので、自宅でのセルフケアにしていただき初回は終了となりました。
マッケンジー法というと、脊椎(頚椎・腰椎)のアプローチとしては有名ですが実は運動器疾患全てが適用なのです!!
今回も暫定分類は、肘のDerangement syndrome
Derangement syndromeとは、反復運動や姿勢保持といった負荷を加えたことによって、症状、可動域の改善が認められるとマッケンジー法では定義されています。
※ Derangement syndromeをわかりやすく説明すると
以下は、私個人の考えです。
肘だと肘内障がイメージしやすいと思います。
肘内障だと橈骨輪状靭帯が腕橈関節に嵌頓し回内や回外、屈曲などで嵌頓を整復したら、劇的によくなる症状がイメージしやすいと思います。
関節の機能異常などとも言われています。
今回は症状が良くなる方向は、外側に押しながら・肘の伸展
テニス肘・ゴルフ肘という疾患名であっても、まずは脊椎から評価をすること。
次に肘を動かしてどうなるのかを詳しく評価すること。
力学的な評価が重要です!というお話でした。