チャンスは突然訪れた。

 

夫のスマホチェック中に1通のメールが来た。

最後に話せないかな?」とつづられていた。

 

 

結局まだ続いているじゃないかと

怒りに震えながら証拠としてメールをカメラに収める。

メールを未読に戻して、スマホの調査に戻ろうとした。

・・・が、すぐに考え直す。

 

夫のスマホを見る機会はこの先ないだろう。

正攻法で戦っても夫は自白はしない。

 

先につぶすのは女の方なんじゃないか?!

 

アドレス帳からMを探し、電話をかける。

 

スマホスマホスマホスマホ

 

コール音は鳴るが出ない。

こっちも意地だ。

深夜だが、もう一度かけなおす。

 

スマホスマホスマホスマホ

 

・・・はい?むかっ

苛立った雰囲気でMが電話に出た。

 

もしもし?嘘男の妻です。

はじめまして。

なんで電話が来たのか、お判りですよね?

 

え・・・(沈黙)

 

かなり驚いている。

そりゃそうだ、

夫からの電話だと思って出たら

嫁からだなんて想定外にもほどがある。

 

あ、切らないで。

私ね、Mさんの大学も、どんなお仕事をしているのかも全部知ってるの。

悪いようにはしないわ。

一度会ってお話しませんか?

 

あの、それはちょっと・・・

 

(さすがに威圧的過ぎたかな・・・)

今ね、夫のスマホを勝手に使って電話しているの。

だから長く話せないの。

ただ一つ、あなたに対して怒りはない。

夫を懲らしめたいの。協力してくれない?

すべて話してくれたら、あなたに対して慰謝料請求はしない。

この後、あなたのアドレスにメールするわ。

細かい打ち合わせはそこで。

 

話したいだけ話して、電話を切った。

我ながら怖い~~滝汗

 

 

Mに連絡するためフリーメールのアドレスを取得した。

あっちの身元は割れているが、こちらの身元は明かしたくない。

 

Mのアドレスにメールをする。

 

先ほどは夜分にごめんなさいね。

いつならお会いできる?

 

あの、仕事で日曜から海外に行くのでしばらくは・・・

 

あら、そう。残念。

じゃあ帰国してからにしましょうか?

こちらはいつでも。

準備はできてますので。

 

あの…やっぱり海外に行く前にお会いしたいです。

今週の土曜はいかがですか?

 

では、土曜13時に〇〇駅前の交番横で待ち合わせましょう。

 

 

そうと決まれば、まずMとの直接対決に備えなければ。

Mから来たメールは削除した。

これで夫からMへの返信はないだろう(と信じたい)

 

スマホチェックもあらかた終えたので、

適当なパスコードを何度も入力する。

間違えるごとにロック時間が長くなっていく。

 

朝になり、夫にスマホを返した。

スマホを奪われた夫は昨夜一睡も出来なかったようだ。

 

スマホ、見たの?

ううん、思いつく限りパスコードを入れたけど開けられなかった…。

ほんとはこんなことしたくない…

けど何が本当なのかわからないのよ…

 

心の中で舌を出し、ポロポロと涙をこぼしながら、スマホを返した。

 

半信半疑でスマホを受け取った夫だったが、

その後、何も追求してこない私に

本当に見れなかったんだろう

と安心したようだった。

 

 

Mと会うことは夫には内緒だ。

邪魔されたくない。

今はMのこともゆかりのことも問い詰めない方が得策だ。

 

Mが夫に助けを求めるかも・・・と心配したが、

夫の様子を見るに、Mから連絡は無いようだった。

 

賢い子だな~と感心した。

もう逃げられないと悟ったのだろう。

そして誰を敵に回すのが一番厄介なのか、ちゃんとわかっている

 

小娘と思って侮ったら返り討ちに合うかもしれない。

さあ、土曜日までにどう戦うのか考えよう。

 

 

 

身バレ防止のためフェイクを入れてます。

多少つじつまの合わない点がありますが、ご容赦ください。