夫が携帯を肌身離さず持ち歩いていることは気が付いていた。

でも、Hなサイトや、エロ画像でも検索しているんだろうと思っていた。

 

携帯を見せて

 

・・・・・・・・・・・・・・見せられない・・・・・

 

これはいったいどういうことだろう?

まさかホントに浮気とか・・・?

嘘でしょ?

 

ねぇお願い。もう一度ビンタして

 

は?意味わからない。

ビンタで許されると持ったら大間違い。

もう、あなたのことは信用できない。

もう一度言う。携帯を見せて

 

(沈黙)

 

いつもそうだ。

都合が悪くなるとダンマリを決め込む。

いつもはこの沈黙に「これ以上付き合っても無駄か」と

私が諦めてお終いにしていた。

だが、今日は何時間でも待つ。

ここで見逃すわけにはいかない。

 

深夜3時だ。

子供たちが寝ている。

小声だが、一切揺るがない信念を込めてもう一度言う。

 

携帯を見せて

 

・・・・・・・・・・・・・・見せられない・・・・・

 

夫は顔色を失い、携帯を握りしめてカタカタと震え始める。

 

携帯を奪い取り、

 

パスワードは?

 

・・・・・・・・・・・・・・言えない・・・・・

 

わかった。それなら、財布を見せて

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

固まる夫。

 

いい加減進展しないこの状況にしびれを切らし、

夫のバックに手を伸ばす。

 

その途端、夫はバックを胸に抱え部屋を飛び出した。

 

 

 

 

バタンっ、ガチャ

 

トイレに駆け込み、鍵を閉めた。

 

やばい!

証拠をトイレに流されてなるものか!

 

 

間髪入れずに、コインで鍵を開け、トイレに押し入る。

 

ビクッ…

 

真っ青な顔で立ち尽くす夫。

ドスのきいた低い声で言う。

 

くだらないことに時間を使わせないでむかっ

 

強引にバックごと奪い取り、リビングに戻る。

後からついてきた夫は

私がバックのポケット一つ一つを開けて

確認している間、ずっと隣で震えていた

 

お願い・・・・・か・・・返して・・・

 

時折、伸ばしてくる手を体で遮り、睨みつける。

 

財布を開けるとたくさんのメッセージカードと

たくさんのポイントカードが出てきた。

 

・・・これは?ムカムカ

 

風俗・・・の・・・です

 

は?

 

ソープランド・・・の・・・・ポイントカード・・・です・・・

 

 

 

夫は仕事柄キャバクラなどに行くことはあったが、

ソープには興味のない人だと思っていた。

Hは好きな人としたい

…若いころからそう言っていなかったか?

 

しかもポイントカードだけでも5~6店舗分ある。

メッセージカードには

「また来てくれてありがとう」とか

「次は120分コース!約束だよ」とか

常連であることが

うかがい知れる内容であふれていた。

 

夫は無言でガタガタ震えている。

 

情報が追い付かない。

まさか自分の夫が風俗通いしているとは・・・。

あまりに想定外で何を追求すればいいのか、

何をどう怒ればいいのか混乱していた。

 

2月の深夜、暖房もつけずに2時間が経過していた。

夫は恐怖で震えているようだが、私も寒くてふるえ始めていた。

 

風邪をひいて受験生の長女に感染させたら大変だ。

明日も仕事だし寝よう。

 

 

立ち上がり

 

寝るわ

 

と告げると、やっと解放されると思ったのか

少しほっとした表情を見せた。

 

 

コレ(携帯)とコレ(ポイントカード類)は

預かっておくから

 

と言うと、一転絶望した表情になり

 

か・・返して。お願い・・・・携帯だけでも…

 

 

無視して2階に上がり、部屋に鍵をかける。

布団に入り横になるが眠れるわけがない。

奪い取った携帯電話もパスワードがわからず

見ることもできない。

 

眠れるわけがないのは夫も同様だったようで

明け方まで1階からうろうろと歩き回る足音と

時折、私の部屋のドアノブをガチャガチャする音、

そして、深夜だというのにドアの外から

ねぇ・・・寝ちゃった? 携帯・・・

と、問いかける声。

ここまで携帯電話に固執する夫。

スマホの中に見られてはならない何かあるんだろう。

 

携帯を見たい気持ちと見たくない気持ち半々だった。

パスワードを知る方法が一つだけある。

 

次女が以前

「パパの携帯のパスワード、見ちゃったてへぺろ

って言っていた。

本人が白状しないならば、次女に聞くしかない。

 

 

 

身バレ防止のためフェイクを入れてます。

多少つじつまの合わない点がありますが、ご容赦ください。