秋雨、舞う東京。
台風、大雨も荒れていました。
被害に遭われた方々が希望を持って
一歩ずつ、それぞれのペースで、
新しい日常を手に入れていけることを
願いながら、私は、
自分にできることを精一杯やりながら
生き続けなければ。
先週の金曜から週末にかけて、
カクシンハンメンバーのうち男四人で、
車で7時間かけて、山をいくつも抜け、
富山県南砺市利賀村で40年活動している
「世界で一番有名な日本人演出家」、
鈴木忠志氏率いるSCOTの
2015年サマー・フェスティバルを
観に行って来ました。
今年で、利賀村に拠点を構えてからの
SCOTの活動は40周年を迎えたそうです。
劇団を構えてから50年ということで、
一つの理想を掲げ、貫き通してきた
偉大な先人の活動に、
自分の人生のこのタイミングで
触れられたことは、
とても大きな経験でした。
宿は海外から来たカンパニーと
全国から集まったお客様で埋まっていて
テント泊だったのですが、
それも含めて刺激的な観劇体験に。
山に囲まれた大自然の空間、空気、音、
合掌造りの建物の数々、檜の薫り、
村にたどり着くまでの距離、道のり、
東京で大活躍の後わずか36歳で、
あの場所に拠点を移動したということ、
そこで40年続けているということ、
その中で作り上げられてきた環境、
突き抜けた舞台演出、身体発声の型、
訓練された役者の声、筋肉、
鈴木忠志氏の話しぶり、言葉、
一つ一つの衝撃がまだ渦巻いています。
あの場所であれだけのことが
続けられているということ。
自分はそこではない場所を選んで
続けていくということ。
利賀村には、
考え続けなければならない、
意識し続けなければならないものが
大自然の山と共に聳えていました。
そして帰京して翌日は
BunkamuraシアターコクーンでNINAGAWAマクベスの初日を観劇。
二人の同時代の巨匠の作品を
改めて見比べられたことで、
ガツンと心を揺さぶられるものと、
新しい発見が沢山ありました。
そして、カクシンハンpocketの稽古。
毎日新しい発見を沢山重ねています。
でもなんなんだ、行きたい場所は
もっと遥か先にあるのに。
そことどこまで勝負できるか。
それが今回の公演の個人的な課題です。
あなたにとっても今日の一日が、
いくつかの小さな幸せに彩られた
一日になりますように。