中之条ビエンナーレ2023【旧家で美と演劇を堪能編】 | 今日はどこへ行きましょうか

今日はどこへ行きましょうか

ゆっきーの徒然日記帳

だいぶ涼しくなってきましたね。

中之条ビエンナーレに行ってきたときは、あんなに暑かったのに。

秋の気配ですねえ。イチョウ

 

さて、この前の続きです。

アート旅最後の日は、中之条ビエンナーレの最新部「やませ」に訪問。

こんな山奥の旧家に、たくさんの人出。

アートに興味を持つ方が年々増えてきてみたいで、うれしい。おねがい

ただ増えすぎたみたいで、イサマムラからのシャトルバスが出てました。

うちの車は、運良く駐車場に入れられましたが。

 

はなれの大広間には、たくさんのふすま絵。

TETTAさんの「しつらい」

もとのふすまに違和感なく書かれた精細な絵。

ふすまが迷路の壁みたいに配置されていて、方向によってぜんぜんちがう風景になります。

 

母屋の一階は、ちょうどお昼ご飯ですかね。

ぼくもいっしょに。

浅野暢晴さんの「異形の食卓」

形状は気持ち悪いんですけど、ずっと見ていると可愛く思えます。

ひょっこり覗いてるのもいる。

 

広間にも素敵な作品が。

これ、切り絵なんですよ。

すごく繊細。

早崎真奈美さんの「よわいわたしをまもる棘」

これを見て即座に思い出したのは、大地の芸術祭で苗場酒造にあった作品。

彼女の作品って、その土地に根ざした植物と人の心の内面を混ぜ合わせたような。

ご本人にあったことはないけど、たぶん穏やかな方なんだろうな、と推測。

障子にうかぶシルエットも、幻想的。

 

山形敦子さんの「消えゆく土地の記憶」は、闇に浮かび上がる繊細な作品。

 

近づいてみると、地名と絵がクリスタルの中に封じ込められています。

このあたりは、地図には載っていない口承地名(みんな口では言ってるけど正式に登録されてない地名で、「西国分寺」みたいなものですかね)と、その物語が描かれてます。

 

窓の淡い光に照らされた緑のカーテン。

家にあるふつうのカーテンがうしろにあるので、家の中なのか外なのかが曖昧になります。

 

お部屋に入ると、陶器の壁。

久保田茜さんの「Ornament Pattern of Natural Plants」

陶器には葉っぱそのものの型取りがされ、まるで葉っぱが埋め込まれているよう。

入り口の緑のカーテンは、この葉っぱを写しとる行為の一環だったのですね。

 

五十嵐祐さんの「Cleaners」は、元台所と土間全体を使ったおもしろい作品。

いたるところに、汚いものとされてしまった言葉たちを消そうとする掃除用具。

特にこの部分。

社会のなかで生きてくってことは、もちろん我慢の連続ですが。

それを表には見せず、平気な顔していかなきゃいけないってのも、社会のなかで生きていくのには必要。

どっちが目的で、どっちが結果なんでしょうね。

 

今回のやませでいつもと違うのは、2階が開放されたこと。

ちょっとこわい仮設階段をのぼります。

 

静かな部屋で、静かにまわる風車。

鉾井喬さんの「山に立ち風上を捉える」

この辺りには巨大な送電線が多くて、それらは福島の原発につながっているそう。

その力に頼っていたのに、東日本大震災が起こって、いまは風車などの自然エネルギーで電力を得ようとしています。

そこから起想された作品とのこと。

自分たちは自然に生かされていると言いながら、原発の力に頼ってきたのは事実です。

でもそれを考え直す時期がもう、きているわけですね。

 

その奥には、あの、西島雄志さんの作品が堂々と。

題名は「環」

降り注ぐあかりに照らされた鹿は、ところどころ表面が抜け落ちています。

表面の一部が寄り集まって鹿を形造ってますが、それは僕たちが脳内で想像している鹿に似ているだけであって、もしかしたら別の何かなのかもしれない、なんてことを考えちゃいます。

それにしても・・・西島さんの作品は、いつも美しすぎて言葉を失います。

 

外に出て蔵のなかに入ると、ときどき「こーん」と金属音が。

妙な装置が点在する部屋。

音はランダムに発生しています。

どうも電磁コイルに電気を流し、中の金属を動かして音を鳴らす仕組みみたい。

ウッティン・チャンサタブートさんの「ごく小さな火の鳥のバラード」

ちなみにその解説を読んでもいまいち意味が・・・

DNA配列をデータにしてこの機械を動かすタイミングにしているようなのですが、じーっと見ててもその音の鳴るパターンはわからず。

 

外には大量の小さな瓦屋根?

三梨伸さんの「小動物の宿」

これらぜんぶ、小さな生き物のための旅館だそうです。

うさぎちゃんなら住めるかな?

 

道向かいの小屋には、不思議なものが点在。

ジュリア・マッキンレー&中島裕子さんの「一対の肺」

壁に書いてある詩をもとに、ふたりが想像したものをミックスして具現化。

ひとりだけで造っていないから、異質な空気感が漂います。

この透明感が、気持ち悪いような、美しいような。

 

一対の肺は、ここにひっそりと。

 

さてさて、さっさとお昼ご飯を食べたら移動です。

文化財でもある「富沢家住宅」で行われる演劇があるんです。

このおうち、どんだけでっかいんだろうというぐらい、信じられないぐらい大きな木造住宅。

昔の人から見れば、トランプの別荘ぐらいのおうちだったでしょうね。

そりゃ文化財にならないほうがおかしいでしょうに。

この中で、「紅月(あかつき)劇団」による、幕末の異端児:小栗上野介と中之条とを結ぶ演劇(なんとタダ!)を鑑賞。

スタートのギリギリで行ったことと、すでにけっこうな人出だったので、もういい席は空いてないかな?

と思ったら、うしろのイス席は満員だけど、前列の座る席はまだ空いてますよと言われ・・・なんと前から二番目の超近い席になっちゃいました。

 

中之条のゆるキャラ、なかのんも登場したり。

なかのん、完全に逆光で、こわい。

 

写真OKではあったのですが、1時間半のなかなかに長いにもかかわらず内容がおもしろかったので、ついつい最後まで見ちゃって最後のご挨拶で写真。

 

こんな舞台なので、おなじセットで最後まで。

そして音楽は、なんと両奥にいる演奏者の生演奏という。

刺激のある舞台でしたよ〜

 

幕府側ではあるが、西洋の優れたところはドンドン吸収しようと言い続け(過ぎて)、幕府からは厄介払いされ、新政府側にも追い詰められ、非業の死を遂げた小栗上野介。

そういえば、大河ドラマの「青天を衝け」でも渋沢栄一との交流が描かれてましたね。

あのときの小栗役、武田真治さんでしたね。

 

この日は、中之条の山奥で充実したアート三昧。

いい天気でしたし、空気もきれいで大満足な1日でした。