3争点(3)(本件議会内発言及び本件各投稿についての免責事由の有無等)について


(1) 本件議会内発言及び本各投稿の真実性及び真実相当性について

事実を摘示しての名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、上記行為には違法性がなく、仮に上記証明がないときにも、行為者において上記事実の重要な部分を真実とずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定される(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。


 一方、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、上記行為は違法性を久くものというべきであり、仮に上記証明がないときにも、行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば、その故意又は過失は否定されると解す。


例え名誉毀損の事案があっても,それが重要な部分に真実があって,そのことがみんなのためになるのであれば免責される。


以下判決文を筆者が自分なりに解りやすく切りはりしていることをご容赦願いたい。


ア 本件議会内発言について


前提

① 本件発言を原告がしたとの部分は事実の摘示

②本件発言は恫喝であるとの部分は意見ないし論評である


被告の主張

本件議会内発言が原告の名誉を毀損するものであるとしても、本件議会内発言は公共の利害に関する事実に係るもので、専ら公益を図る目的でされたもの


本件発言をしたのは原告であるという部分=(A)は真実で、本件発言は恫喝であるという意見ないし論評も、前提となる(A)が真実であり、意見ないし論評としても公正なものであるから、本件議会内発言には違法性がない旨、仮に違法性があるとしても、本件発言があったとするにつき相当の理由があり、故意又は過失が否定される。


(イ) そこで検討するに、原告が市議会議員であり、全員協議会における発言は市議会議員としての発言であるから、本件発言の有無に関する本件議会内発言は公共の利害に関する事実であるといえるし、そのような事実を明らかにすることは市民にとって有益であることからすると、本件議会内発言は、専ら公益を図る目的でされたものといえる。


この件での市議及び市長は公人として存在し,公人として発言しているという前提を立てている


この点につき、原告は、本件議会内発言は、原告を貶めるためになされたものであり、公益を図る目的でされたものではないと主張するが、原告が、本件議会内発言の動機として主張するものは、いずれも原告の憶測にすぎず、本件議会内発言の主たる自的が公益目的以外であることを認めるに足りる証拠はないため、原告の上記主張を採用することはできない。


第二の部分でそれぞれの主張が書かれているのに,その部分がない判決文なので,わかりにくいところが多い。この後「真実相当性」の裁判所の判断が述べられる。


つづく