『紫にそまる恋』解説 ~翳ろふ(4) | YUKARI /紫がたりのブログ

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翳ろふ10



みなさん、こんばんは。


本日も翳ろふの章について続きを解説してゆきます。





前回までは薫と匂宮のことばかりにスポットを当ててきましたが、今日は浮舟の母君についてお話致しましょう。





ここのところはほとんど私の創作ですので、解説が必要ですね。


私は以前から浮舟の母と実の父である故・八の宮、義父の常陸の守のことを細かく描写してきましたが、浮舟が亡くなったここでこの作業が生きてくるわけです。


故・八の宮との恋と別れ、常陸の守とのなれ初めは私の創作であると以前の解説にも書きましたが、それはこうした背景、人生があろうと想像したものです。


浮舟という薄幸の姫の人生のバックグラウンドですね。





常陸の守は狭量な男ではありません。


それなのに気の強い妻とは継娘のことでことごとく衝突してきました。


あまつさえ浮舟にときた婿を自分の娘に横取りしてしまうのですから意地の張り合いは極限を迎えたわけです。





北の方は浮舟が薫右大将という立派な夫を得たことを、晴れて夫に鼻高々に示す日が来ると、勇んでいたものが潰えてします。


娘を失った悲しみに打ちひしがれて、そんなところにいつまでも戻らぬ妻を連れ戻しにやって来た常陸の守、という場面を設定しました。





原典では常陸の守は浮舟の本当の父親が宮家の御方であったと承知しておりますが、私は北の方が意地を張り通して隠してきた、というように記しました。


ここですべてがつまびらかになり、常陸の守と和解する舞台を整えた、という次第です。





薫君という頼もしい後ろ盾が一族にもたらされたことと、妻の憔悴ぶりに常陸の守の意地も溶かされ、共においおいと声を上げて浮舟の為に泣き、菩提を弔おうと妻を慰めて、この夫婦はしっかりと落ち着いたのでした。





源氏物語は色恋の部分がフィーチャーされますが、当時の登場人物たちの息吹が聞こえてくるような一面も盛り込まれた作品です。


そうした部分を示そうと描写した場面でした。





明日も翳ろふの章について解説致します。





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