本日のお話は中将がいかに深くおちくぼ姫を愛しているのかを物語るエピソードです。
中将は帝のおぼえもめでたく、優れた青年でしたので、どこの家でも婿にと望んでいましたが、時の右大臣もそのように考えていました。
右大臣の姫は一人娘で、目に入れても痛くないような可愛がりぶりでしたので、宮仕えに出して苦労はさせたくないと思っているのでした。
帝の后というと、何かと気にかかることも多く、親としては優れた貴公子に嫁がせて、大切にされた方がよいと考えたのです。
よもや右大臣の姫を粗略に扱う者はおりませんでしょうから。
噂によると三位の中将は一人の女性に誠を尽くす素晴らしい青年だとのこと。
もしも自分の娘もそのように大切にしてもらえたら、これほどの婿はいないだろう、と右大臣は早速縁談を申し込みました。
この縁談に大喜びしたのは中将の乳母(惟成/これなりの母)です。
中将が断ってくれと頼んだのにも関わらず、話を進めてしまえば中将も従うだろうとたかをくくっていました。
人の噂というものは密かにあっという間に広がるもので、中将と右大臣の姫の結婚話はおちくぼ姫の耳にも入りました。
右大臣の姫と結婚されれば大きな後ろ盾ができて、中将ももっと出世されるに違いない、とおちくぼ姫は聞かなかったことにしようと胸の奥に心をしまい込みました。
中将は姫の様子がどうにも隔たりのあるような気がして、何を気に病んでいるのか聞きますが、姫は「そんなことありませんわ」と柔らかく返すだけで何も話そうとはしません。
数日の間中将が姫の悩みをあれこれと思いめぐらせていると、乳母がやってきて右大臣の姫との結婚のことを話し始めました。
本人の知らないところで日取りまで決まっていたことに中将は驚きましたが、これだったのか、と思い当たります。
余計なことをした乳母に責任をもって断りを入れるよう言い渡しました。
当世風の習いならばこれこそ男の幸せでしょう、と乳母は食い下がりましたが、古臭くて結構、と中将は間近に迫った結婚話を軽く蹴飛ばしました。
中将は姫の元へ急ぎ、
「たとえ帝の姫を賜るといわれても私は断るよ」
と最愛の姫を抱きしめました。
その様子を見た衛門(えもん)も夫の惟成(惟成は中将の味方をして母に意見しました)もこんなに愛情深い絆で結ばれた夫婦はそうはいない、としみじみ感じたのでした。
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