私は実の父と一度も面識がない。
私は小学一年生にあがる前まで母の実家で生活をしていた。
家族構成は
- 母
- 祖母(私の育ての母①)
- 叔父(母の兄、私の育ての父・当時独身)
- 叔母(母の妹、私の育ての母②・当時独身)
他にも同居人は居たが、母は7人兄弟のため、ここでは割愛させていただく。
実質この人達の愛情によって現在の私はギリギリの状態で踏みとどまり、存在しているのである。
母は私を養うため、夜はスナック勤めに出ていて、昼夜逆転の生活だ。
夜は飲めない酒でグテングテンな状態になり朝方帰宅し、そのまま就寝。
昼過ぎまで寝て、夕方お風呂に入り派手な化粧をし、髪を念入りにカールし着飾って出勤して行く。
私は朝起き、ばあちゃんの作った朝食を食べ、叔母さんの出勤に合わせ幼稚園へ行く準備をしてもらい通園する。
帰りは幼稚園バスで家の近くまで送ってもらえるのだが、母はしょっちゅう寝坊し、その場所には来ない。
困った先生は私の手を引き家のドアをノックするが応答はない。
私は「母は絶対に寝ている」とわかっているのだが、これが子供ながらに恥ずかしい事だとわかっていたので、先生にいくら聞かれても首を傾げるのが精一杯だった。
そして先生は「どうしちゃったんだろうね」と言い、また幼稚園へバスで舞い戻る。
そして夕方まで幼稚園でお絵描きをしていると、母がハイヒールの音をコツコツとさせ、ペコペコと先生に頭を下げて毎回迎えにくるのがパターンだ。
私はそのハイヒールのコツコツ音が大嫌いだった。
病気になったお友達のお母さん達は、こんなコツコツと音のするハイヒールでお迎えなんか来ない。
こんな香りの強い派手な格好をして迎えに来ない。
あの頃の私は、母のすべてを恥ずかしく感じていた。