MASK DE 50 -2ページ目

MASK DE 50

日常で気に入った事を何でも紹介して行きます。

2016年に観た日本映画は85本。100本超えの2015年には届かなかったけど、愛媛から鳥取へ引っ越したりして環境が変わった割には多かった方じゃないかな。

 
という訳で今年もベスト20を選んでみた。


第1位『シン・ゴジラ』
 
 
 
 
公開前は期待と共に不安も大きかったこの作品。全くの杞憂だった。起きている事自体は絶対にあり得ないんだけど、それに対する人間描写が悉くリアルで思わずニヤけてしまう。久々に鑑賞後に「誰かと語りたい!」と思わせてくれた傑作。当然続編も期待したいところだけど、庵野さんにはエヴァをまず何とかしてもらわなくてはいけないし…しばらくは無いかな。
 
 
第2位『湯を沸かすほどの熱い愛』
 
 
 
 
アニメと怪獣が席巻した2016年の日本映画界の中でこの作品、そして中野量太という監督がこれだけ評価されたというのは素晴らしい事だと思う。商業映画デビュー作品をオリジナル脚本で撮らせてもらえるというのはそれだけ中野監督が評価されているという事だろうけど、それを見事に表現したキャスト陣もお見事。
 
 
第3位『この世界の片隅に』
 
 
 
 
もう語り尽されている事だが、封切り前にほとんどメディアでの宣伝活動が行われていなかったにも拘らず、口コミでここまで拡大公開となったこの作品の持つ力は本当にスゴい。この状況を作ってしまったのは主人公すずの声を担当したのん(能年玲奈でいいじゃんもう)なのだが、この作品が成功したのも彼女の声が間違いなく貢献していると思う。
 
 
第4位『永い言い訳』
 
 
 
 
昔から本木雅弘のイヤミな演技があまり好きではないんだけど、今回もその感じが全開だった。冒頭のシーンは本当にムカついたもん。でもそこで言われ放題だった深津絵里演じる妻がいなくなってから夫を追い詰めていく感じがエグいんだけど、何かスッキリする。そして最後にはその本木雅弘でさえホッコリさせてしまうのだ。さすが西川美和。
 
 
第5位『オーバー・フェンス』
 
 
 
 
どこか陰のあるオダギリジョーに天真爛漫な蒼井優。何だかどこかで見たことある気がするけど、意外と無かった組み合わせ。佐藤泰志原作で、「函館3部作」とはなっているものの、前2作とは少しテイストが違っていて、やっぱり山下敦弘にしか撮れない作品になっている。ラストシーンは去年観た映画の中でいちばん好きかも。
 
 
第6位『リップヴァンウィンクルの花嫁』
 
 
 
 
岩井俊二と黒木華。観る前から期待せずにはいられなかった組み合わせだけど、その期待を裏切らない、素晴らしい世界観。そしてそこに飛び込んでくるCoccoがまた良いんだなぁ。彼女のある意味人間離れした感じが岩井作品にマッチしていた。そしてラストでは昨年亡くなったりりイの名演が光る。
 
 
第7位『ディストラクション・ベイビーズ』
 
 
 
 
公開当時この作品の舞台である愛媛に住んでいたというのもあって凄く思い入れが強い作品。要所要所で知っている場所が出てくるんだけど、そこでどんどん凄惨な事が起こって行くのが何だか変な気分だった。ここ数年で復活の兆しを見せていた柳楽優弥だけど、この作品はこれまでのキャリアの最高傑作になったんじゃないかな。
 
 
第8位『64-ロクヨン-前編/後編』
 
 
 
 
2015年の「ソロモンの偽証」と同じで、前編凄く良かったのに後編が…というパターン。ハードルが上がっちゃうのかな。ラストの物足りなさがハンパ無いのだ。それでもあのボリュームある原作を、あれだけの豪華俳優陣をまとめ切って映像化した瀬々監督の技量は素晴らしいと思う。それだけにラストが惜しい。
 
 
第9位『怒り』
 
 
 
 
これだけの主演級の俳優陣を揃えればそれなりに見応えのある作品になるのは当然なんだけど、その分、どこにフォーカスを当てて観たら良いのかが分からないまま終わってしまった印象。詰め込み過ぎだ。でもこれを前後編に分けてそれぞれのストーリーを膨らましてもそれはそれでやり過ぎな気がするし…難しいな。
 
 
第10位『君の名は。』
 
 
 
 
もはや何の説明もいらない、2016年を代表する作品。新海監督の手腕も、神木&上白石の声優陣も、RADWIMPSの音楽も文句のつけようが無いんだけど、一方で「何でここまでヒットしちゃったの?」と思っている自分がいたりする。実際リピーターが多いといわれているけど2回目観に行こうとは思わなかったし。でもけなす所も無いから10位には入れておく。
 
 
第11位『海よりもまだ深く』
 
 
 
 
是枝監督×阿部寛×樹木希林の「歩いても歩いても」トリオの再タッグなんだけど、前作に比べるとちょっと落ちるかな。でも大作が続いた是枝監督がまたこのくらいの規模の映画を撮ってくれたのは良い傾向。ところで阿部寛は“情けない父(夫)”の役が多過ぎやしないか?見た目とのギャップという面では適役なんだろうけど、そろそろカッコいい役も見てみたい。
 
 
12位『ヒメアノ~ル』
 
 
 
 
少女漫画だけでなく青年誌からの映画化も多かった2016年。厳しい評価を受ける作品が多い中でこれは成功したと言って良いのでは。何より森田剛の怪演が光っていた。ただ古谷実
ファンとしてはあのラストはかなり不満が残る。話自体が絶望的な内容だけに少しでも希望を残したかったんだろうけど、古谷作品は絶望のままで終わらせれば良いのだ。
 
 
第13位『葛城事件』
 
 
 
 
何と言っても三浦友和でしょう。最悪の父親であり、夫であり、人間である(ように見える)主
人公を見事に演じ切っていた。実は可哀想な人なんだけど、そんな事を微塵も感じさせない
くらい“イヤな奴”だった。あと忘れてはいけないのは通り魔殺人のシーン。じつはあそこまで
リアルに無差別殺人の瞬間を見せたのってあまり無い気がする。
 
 
第14位『溺れるナイフ』
 
 
 
 
前作「おとぎ話みたい」が途轍もなく素晴らしかったので、その期待度も大きかった山戸結希監督の最新作はその期待を裏切ることなく、素晴らしい作品に仕上がっていた。やっぱりこの監督は凄い。若くても、女性でも、現場経験が少なくても、こうやって出てくる人は出てくるのだ。次はぜひオリジナル脚本の作品が観てみたい。
 
 
第15位『14の夜』
 
 
 
 
「百円の恋」の脚本を手掛けた足立紳の監督デビュー作。年末ギリギリの公開で賞レースには間に合わなかったけど、「百円の恋」同様に来年度の映画賞で話題に上っているかもしれない。健康な中学生男子なら誰でも考えていたような本当にバカバカしい話をこうやって2時間の映画にしてしまうのが素晴らしい。
 
 
第16位『クリーピー 偽りの隣人』
 
 
 
 
久々の黒沢清監督らしいサイコスリラーで面白かったんだけど、隣人役の香川照之のクセが凄過ぎてどうも物語に入っていけない。一見普通で実は…っていうのが欲しいのに、最初から明らかにおかしいんだもん。他の出演陣も何かハマらなかったな。そんな中で藤野涼子だけは光っていた。映画の世界で大事に育てていただきたい。
 
 
第17位『聖の青春』
 
 
 
 
実在の人物を演じるというのはやっぱり難しいし、それが有名人であればあるほど色々と大変だと思う。そういう意味では羽生善治を演じた東出昌大は素晴らしかった。もちろん体重をあれだけ増やして臨んだ松山ケンイチも良かったんだけど、存在感に圧倒されたのは東出の方だったかな。
 
 
第18位『団地』
 
 
 
 
監督阪本順治、主演藤山直美といえばあの「顔」以来久々の顔合わせになるけど、まさかSFコメディで来るとは。内容云々よりも藤山・岸辺・石橋・大楠の掛け合いを楽しんだ感じだな。さすがにラストに関してはふざけ過ぎのような気もするが、藤山直美をスクリーンで観られるというだけで良しとしておこう。
 
 
第19位『俳優・亀岡拓次』
 
 
 
 
横浜監督久々の長編は戌井昭人による小説の映画化。好きな作家の作品を好きな監督が撮っているんだから面白くないはずがない。安田顕演じる脇役俳優・亀岡と麻生久美子演じる居酒屋の女将の関係性が実に良いんだよなぁ。作品全体が醸し出す雰囲気は地味なんだけど、作品としての見応えは十分。原作同様続編に期待。
 
 
第20位『FAKE』
 
 
 
 
ドキュメンタリー映画があまり好きではないので正直観るつもりは無かったが、たまたま時間が合ったので…という感じで観始めたけど、観終わった後は完全にその世界に引き込まれてしまっていた。それまでさほど興味のなかった佐村河内守という人に俄然興味が沸いた。ただ、個人的にはラストがどうしてもしっくり来ていない。森監督の真意を聞いてみたい。
 
 
次点『セトウツミ』
 
 
 
 
予告の時点で既に面白かったこの作品、実際に本編も面白かったんだけど、予告を観た時の期待値を超えてはくれなかった。それでも主人公たちの会話だけでほぼ成り立っているこの異色の作品を池松壮亮と菅田将暉という人気も実力もトップクラスの2人が見事に演じ切っている。これも続編作ってくれないかな。テレ東の深夜ドラマで良いから。
 
 
他では「無伴奏」「蜜のあわれ」「太陽」「日本で一番悪い奴ら」「SCOOP!」あたりが惜しくも届かずといったところ。
 
 
そしてキネ旬ベストテンで3位に入った「淵に立つ」を年内に観ることが出来なかった。2016年を代表するような作品を観る事が出来ないというのはやっぱりオカシイ。山陰でももっとたくさんの日本映画が観られるようになって欲しいものだ。
2015年に観た日本映画は102本。年間100本以上観たのは久しぶり…いや、初めてかな?愛媛にいながらこれだけ観られたのはなかなか頑張ったなと。

その中から今年もベスト20を選んでみた。


第1位『恋人たち』


恋人たち


第2位『ハッピーアワー』


ハッピーアワー


3位『海街diary』


海街diary


第4位『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』


ソロモンの偽証


第5位『バクマン。』


バクマン。


第6位『あん』


あん


第7位『お盆の弟』


お盆の弟


第8位『トイレのピエタ』


トイレのピエタ


第9位『
私たちのハァハァ


私たちのハァハァ


10位『きみはいい子』


きみはいい子


第11位『バケモノの子』


バケモノの子


第12位『岸辺の旅



岸辺の旅


第13位『罪の余白』


罪の余白


第14位『野火』


野火


第15位『
駆込み女と駆出し男


駆込み女と駆出し男


第16位『映画 深夜食堂



深夜食堂


第17位『
さよなら歌舞伎町


さよなら歌舞伎町


第18位『
味園ユニバース


味園ユニバース


第19位『
ローリング


ローリング


第20位『さようなら』


さようなら


次点『
イニシエーション・ラブ


イニシエーション・ラブ


1,2位はどちらも無名の俳優が主演しているけどそれが全くマイナスになっていない素晴らしい作品だった。今年はこの2本が図抜けていたかな。特に『ハッピーアワー』には本当に驚かされた。濱口監督の次回作が本当に楽しみだ。

『海街diary』は反対に有名女優4人の競演が話題になったけど、それを監督したのが無名な子役を起用した『誰も知らない』を撮った是枝監督なのも何だか変な巡り合わせ。

『ソロモンの偽証』は前篇を観たときはどんなスゴい作品になるんだろうと思ったけど、後篇が…あれなら前後篇分けずに一気に見せた方が良かった。今年もすでに何本かあるみたいだけど、もう前後篇分けるのやめたらどうだろうか。『64 ロクヨン』が心配だ。

5位以下にあまり差は無し。『トイレのピエタ』『私たちのハァハァ』は映画賞とかにはあんまり引っかからないけど、もっと評価されて良い作品。同じことは『イニシエーション・ラブ』にも言えると思う。相変わらずオワコン扱いの前田敦子だけど、個人的には断固支持。

20位に入れなかった中では『ソレダケ/that’s it』『GONIN サーガ』『木屋町DARUMA』が惜しかった。どれも観終わった後、強烈な印象を残した作品で入っていても全然良かったけど、漏れたのは好みの問題だけ。

一方で世間的には評判が良い『この国の空』『FOUJITA』『母と暮せば』は個人的にはハマらなかった。ベストテンから外した『野火』も含めて、どこか気付いていないところで戦争モノを苦手としているのかなぁ。

そして毎回ベストテンに入れていた三谷幸喜作品だけど、今回は…次作に期待という事で。

2016年も100本越え目指すぞ。



ペタしてね
2014年に観た日本映画は72本。昨年ほどではないけど頑張ったほうかな。


その中から今年もベストテンを選んでみました。


第1位『百円の恋』


百円の恋


2014年最後に観た作品。安藤サクラの女優魂炸裂にゴボウ抜きでNO.1に決めた。あと出番は少なかったけど、出戻りの妹役の早織との壮絶な姉妹げんかも見応えがあった。


第2位『0.5ミリ』


0.5ミリ


こちらの安藤サクラも凄かったけど、それ以上にあの長尺を見事にまとめ上げた安藤桃子監督の演出力に脱帽。素敵な姉妹だ。そしてあの愛すべき老人たち。中でも井上竜夫は秀逸だった。


3位『そこのみにて光輝く』


そこのみにて光輝く


過去の作品とはまるで別人のようだった呉美保監督。正直侮っていた。そしてネット上では「劣化した」なんて言われていた池脇千鶴はこれで完全復活だな。


第4位『紙の月』


紙の月


宮沢りえ、小林聡美はもちろん素晴らしかったけど、この作品の肝は大島優子だ。彼女のあの軽い言動が主人公の堕ちていく様をより際立たせていた。助演女優賞は彼女こそが相応しい。


第5位『舞妓はレディ』


舞妓はレディ


久々の周防節をたっぷり堪能。社会派の作品も良いけど、やっぱり周防監督の映画は楽しくなくっちゃいけない。出番はちょっとだったけど、お稽古のお師匠さん3人にニンマリ。


第6位『私の男』


私の男


順調に映画女優としてキャリアを積んでいる二階堂ふみ。というか1段飛ばしで駈上っている感じだな。出て来るだけで画面に惹きつけられる。そして最近の藤竜也は実にイイ。


第7位『水の声を聞く』


水の声を聞く


大根仁監督の「恋の渦」の思わぬ大ヒットで得たお金を実に有効に使った山本監督。「シネマ☆インパクト」の周辺はまだまだ要注目だな。


第8位『ぼくたちの家族』


ぼくたちの家族


なぜあの若さでこんな映画が撮れるんだろう。石井監督には相変わらず感心させられる。2014年出演作が目白押しだった池松壮亮はこの役がいちばん良かった。


第9位『愛の渦』


愛の渦


門脇麦という女優の代表作になるか、黒歴史になるか。今のところは分からないけど、この作品の中の彼女は間違いなく輝いていた。


10位『渇き。』


渇き。


相変わらず賛否分かれる中島作品。今回は“否”が多かったかな。それでも個人的には久々に「KAMIKAZE TAXI」や「シャブ極道」の時の黒い役所広司が戻ってきた感じがしてワクワクした。


さらに、20位まで。


第11位『ドライブイン蒲生』


ドライブイン蒲生


名カメラマンたむらまさきの初監督作品。75歳の監督が撮ったとは思えない若々しさが画面から溢れ出ていた。黒川芽以のヤンキー姿が◎。


第12位『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~






矢口監督にとっては久々に高評価を得た作品。ひと癖もふた癖もある役が多い染谷将太にしては珍しく普通の?若者の役だったけど、それがまた良かった。


第13位『海を感じる時』


海を感じる時


市川由衣はもっと評価されて良かったと思う。結局「ヌードになった」という事実だけが残っちゃった気がして、実に勿体ない。そして池松壮亮はここでも裸。


第14位『野のなななのか』


野のなななのか


大林ワールド全開で、観ていて?マークが多いのも事実。でもやっぱりその世界観に引き込まれていっちゃうんだよなぁ。


第15位『蜩ノ記』


蜩ノ記


小泉監督らしい、実に美しい時代劇。安心して心を預けられる作品になっている。役所広司は「渇き。」からの振り幅が凄い。


第16位『小さいおうち』


小さいおうち


原作が素晴らしいというのもありつつ、やっぱり安定の山田洋次作品。黒木華のあの顔は時代的にも、役柄的にもどんぴしゃだったな。


第17位『白ゆき姫殺人事件』


白ゆき姫殺人事件


井上真央、菜々緒、貫地谷しほり、蓮佛美沙子、小野恵令奈、谷村美月…女優陣の配役が完璧。中村監督らしい、良質のエンタテイメントだった。


第18位『こっぱみじん』


こっぱみじん


主演の我妻三輪子は「恋に至る病」の時も良かったけど、今回も複雑な関係に悩み苦しむ役どころを好演。もっと売れていい女優さん。


第19位『超高速!参勤交代』


超高速!参勤交代


時代劇+コメディの組み合わせはコントっぽくなりがちだけど、この作品は見事にエンタテイメント作品として成立している。さすが本木監督。


第20位『ニシノユキヒコの恋と冒険』


ニシノユキヒコの恋と冒険


ある意味そのまんまじゃないかっていう竹野内豊のダンディっぷりが妙に可笑しい。それはそうと井口監督にはそろそろオリジナルの作品を撮って欲しい。


何だかんだ言って2014年も豊作だったなぁ。『家路』『春を背負って』『2つ目の窓』『柘榴坂の仇討』『まほろ駅前狂騒曲』などが漏れてしまった。さらに山下監督の『超能力研究部の3人』と沖田監督の『滝を見にいく』はそのチャレンジ精神に敬意を表してぜひ入れたかったんだけど…今年は層が厚かった。


悔やまれるのは評判の高かった『ミンヨン 倍音の法則』『福福荘の福ちゃん』『おとぎ話みたい』をまだ観れていない事。そして『劇場版 テレクラキャノンボール2013』も。地方在住はツラい。


2015年も良い作品に巡り会えますように。