第2位!!
それは私が1人で廃ホテルの探索に出かけたときのことでした。
そのホテルは8階建てぐらいの建物で、1階が大きな玄関フロア。2階が結婚式場や大ホール。そこから上は宿泊者施設といった作りでした。
私はいつも探索するときはまず奥まで行って、戻りながら探索をするという方法をとっています。
そうすることでのメリットは多いのですが、その話はここでは割愛させていただきます。
その日もまずは一番上の屋上まで階段で上り、そこから一階ずつ下り各部屋を見て回りました。
8階……7階……6階……5階……
特段不思議な現象が起きるでもなく探索は進んでいきました。
そして4階に下りようと階段に差し掛かったときのことです…
3階あたりから階段を上ってくる音と、話し声が聞こえてくるのです。
「えぇ〜やだ〜こわ〜〜い。」
「大丈夫だよ。俺がついてるからさ。」
「えぇ〜絶対何かあっても逃げないでよね〜。」
「ハハッ当たり前だろ!」
「やだ〜なんかいそうだも〜ん。」
「何もいないってw」
そう。カップルです。
これはソロプレイヤーにとっての天敵。絶対に遭遇したくない奴らです。
何が嫌かって、奴らの思考や行動は私達には理解不能なことばかりなんです。
私達ソロプレイヤーは怖い体験をしたくて心霊スポットに来るのに対して奴らと来たら、
「怖いところ自分たちで来たくせに怖い怖いと騒ぎたてる。」
これどういう心理ですか??
私からしたら、ラーメン屋に来ておきながら「なんかここラーメン出てきそう!」と騒いでいるような感じなんです。
そしてカップルは必ず男のほうが「大丈夫だよ。心配ないよ。何もないよ。」これを必ず言います。
イヤイヤ「何もない」「心配ない」「大丈夫」をご所望ならワザワザこんなとこ来ないで家でゴロゴロしてたらどうでしょう?
少なくとも私は何か起こってほしいし、その起きた出来事が心配な出来事であればあるほど嬉しいです。なので全然大丈夫を求めて心霊スポットに行っていません。
ともかく、私はそんな不謹慎な考えで心霊スポットにやってくるカップルが嫌いなワケなのですが、そんな嫌いなカップルにこのままではニアミスしてしまう。
ということで、急遽私が心霊現象を起こしてカップルを撃退することにしました〜!
まずは手始めに大きな音をたてていきます!
やることは簡単!そのへんにある廃材を手に取り、思いっきり壁を叩くだけ!(叩くところは階段付近オススメ!思いっきり音が反響するよ!)
壁を叩く音と同時に聞こえるカップルの「キャーーッ」という叫び声。
そのまましばらく音を立てずに相手の出方を伺います。
「え?なに?今のなんの音?怖いよ〜やっぱ帰ろうよ〜。」
「イヤなんかが風で倒れただけだよ。大丈夫だよ。」
「えぇ〜ホントにぃ〜…ホント怖いんだけどぉ……」
「大丈夫だって!行こ行こ!」
………なるほど……まだ彼らは帰るつもりはないようです……
ということで第2弾!!
「変な声〜!」
これは自分の声を使うだけのお気軽にできる怖がらせ方!
やり方は簡単で、かすれた声で
「アァ……アァァ……アァァァ………」
って相手に聞こえるか聞こえないかの声で繰り返すだけ!
するとカップルが、
「ねぇ…なんか聞こえる……ねぇ!なんか聞こえるんだけど!!」
「え?いや聞こえないよ……」
「聞こえるって!!なんか唸ってるみたいな声聞こえるって!!」
「………あ…………」
「聞こえるよね!なんか聞こえるよね!!」
「………………うん……聞こえる……」
ここまで来たらもう一息です。
声の大きさをもう一段階上げて「ヴァァァァアァァ……アァァ」と苦しく唸るような感じにしながら、それと同時に壁を廃材でドーン!!
「キャーーーーー!!!」
「ウヮーーーーー!!!」
ドタドタドタ!!(走り去る音)
こうして無事不謹慎カップルを成敗した私。
その場でしばらく待機した後、音がしないことを確認し階段を降りたのですが、
そこに恐怖の出来事が待っていました…
階段を降りたその先に………
階段降りた先にうずくまる女がいたのです。
その光景に一瞬ビビってしまいましたが、
しかしこれは私が待ち望んだ待望の展開!!
ついに分かりやすい心霊現象が私の身に起きようとしているのです!!
意を決して私は女に近づき、まずは観察をしてみることに。
「足はある…格好は今どきな感じ…なんだったら日焼けもしている…幽霊が日焼け?……するのかな?………しかしめっちゃ泣いてるな……ヒクぐらい泣いてるな………
う〜ん………
なるほど……
これは幽霊じゃなくてさっきいたカップルの女の方だな!!」
そう確信した私は話しかけ事情を聞くことに。
最初こそビクビクし話になりませんでしたが、次第に落ち着きを取り戻し話ができるようになり、その話を要約すると、
男は1人で逃げ出してしまったらしく、一人取り残された女の子は怖くて怖くてどうしていいか分からずその場にうずくまっていたということ。
話を聞いてみると…まぁ…ほんの少しだけ私のせいでもありそうですし…
それにこのままほっとくわけにもいかなかったので、とりあえず女の子を外まで連れて行くことに。
その道中女の子は震えながらここであった出来事を教えてくれました。
「……なんか唸るような声がして…バーンってなんか叩くような音がして…多分幽霊が怒ってて……やっぱりこういうところって遊びで来ちゃダメなんですよね……私達ふざけた気持ちで来てたから………きっとそれで……」
私は「へぇ〜」「そうなんだ〜」「怖いね〜」などと適当な相槌を打ってはみたものの、心中は複雑そのもの。
その後なんとか無事入口まで到着すると、入り口付近にいたのであろう彼氏さんがこちらに向かって走ってきました。
彼は彼女さんが知らない男に連れられているという状況に戸惑いながらも、彼女にしきりに、
「大丈夫だったか!?ゴメンな!ゴメンな!俺パニクっちゃって逃げちゃって…ゴメンな!一人にしちゃってゴメンな!!」
と平謝り。
次に彼は私の方に向きなおり、
「スイマセン!助かりました!俺彼女迎えに行かなきゃなのにビビっちゃって……俺ここがこんな怖いとこだって知らなくて!なかなか入れなくて困ってたっす!だから本当に助かりました!!ありがとうございました!!」
と真っ直ぐな目で見つめながら頭を下げてくれました。
なんて素直で人を疑うことを知らない素敵なカップル。
そう思った私は二人に真実を伝えることはせずに、せめてもの教訓として、去り際に、
「こういう所は遊びで行って良いことは1つもないから気をつけたほうがいいよ。幽霊だけじゃなくて変なヤツもうろついているからねww」
そうやって今回起きた出来事のヒントを与えて颯爽とその場を去りました。
いや〜階段下でうずくまった女を見たときは心臓止まるかと思いましたね!!
終わり!!