昨日の投稿の追記と自分の備忘録も兼ねて、HPVと子宮頸がんについての事をこちらに書かせて頂きます


またまた長いですので....

ご興味ある方はお付き合い頂ければと思います



HPVについて


1976:Harald zur Hausen(ハラルド・ツア・ハウゼン)博士によりHPV が子宮頸がんの原因になっているという仮説が立てられる


1983-4:子宮頸がんの原因ウィルスHPV16型とHPV18型を共同研究者ともに同定


2006:各国でHPVワクチンの接種開始

(日本では2013年から公費での接種開始)


ハラルド博士はこの研究で2008年ノーベル生理学・医学賞を受賞されています


HPVと子宮頸がんの因果関係が証明されたのはここ35年、ワクチンは接種開始から約15(日本では10)とその歴史はまだまだ浅いですが、HPVを発見した事は子宮頸がん治療において、とても大きな転機といえます


現在日本で公費で受けれるHPVワクチンは

2(16,18)4(6,11,16,18)2種です

9(6,11,16,18,31,33,45,52,58)は現在は実費負担で公費接種となるかは検討段階にあります


ワクチンの予防効果は2030年と言われています


日本ではがんの検体から52,58型も検出されているので、9価ワクチンでないとカバーできないHPVもあるという事も重要なポイントです



またHPVには生涯で何度も感染する可能性があると言われています

セクシャルデビュー前に接種する事で予防効果が高まりますが、感染後排除されてもまた感染する可能性もあります

ワクチン接種時に既に感染している型には効果がありませんが、セクシャルデビュー後の接種も新たに感染するものには効果があるとされています


それにより、アメリカでは26歳までとされていた接種対象年齢が現在45歳に引き上げられています



世界保健機関(WHO)は世界で一致した子宮頸がん撲滅に取り組む戦略として


2030年までにすべての国でHPVワクチンの接種率を90%に、子宮頸がん検診の受診率を70%に、そして90%が前がん病変を含む子宮頸がん治療を受けられるようにすること


としています


オーストラリア、イギリス、カナダなどではほぼその目標に届き、10年後にはこの病気は撲滅していくだろうと言われています


日本では、2019年時点で2%以下だったHPVワクチンの接種率や、現在40%前後のがん検診受診率をどこまで高めれるか

男性の接種も含めた集団免疫を獲得する事

などなど、課題はまだまだ沢山あると感じます


また、現在の子宮頸がん検診の精度は5070%といわれており、見落としも多いという現実も見逃せません


これは私自身も経験しているので、声を大にして伝えたい点です


私も含め、HPVワクチンを接種していない世代の方々が自分は1次スクリーニングを受けていない状態であり、そのリスクにさらされているんだと知る事、そして罹患者は年々増えているという現実を知る事はとても大事だと思っています


精度が不十分な検診をより確かなものにするために、がん検診と併せてHPVのチェックも受けれる体制が必要だと感じています


HPVは傷口から入り込み感染し、ゆっくり時間をかけて正常な細胞を異形化してゆきます

びらんは女性にはよくある症状ですが子宮頸部にあるびらんはHPVに感染しやすい状況である事、後にがん化するリスクがある点については、クリニックの婦人科医は患者に伝え丁寧にフォローアップする必要があると感じています


ほとんどのHPVは感染しても自然に排除されていきます

HPV感染から実際がん化するケースは0.10.15%と言われています


日本では、年間約11,000人の女性が子宮頸がんに罹患し(73人に1人の割合)、約2,900人が子宮頸がんによってお亡くなりになられています


0.15%を多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれですが


私はそのわずかな確率に入ってしまった1人として、これからもこの現実を伝えていきたいと思っています


このがんは特別な病気ではないんです

ごくありふれた日常にそのリスクが潜んでいます



そして明るいニュースとしては

現在、京都大学とキノファーマが共同開発の異形成の段階でHPVを抑制できる新薬(FIT-039)の臨床試験が第2相まで進んでいます


キノファーマ


京都大学



異形成をお薬で治せる未来にも期待したいです


近い将来、日本でもこの病気が撲滅するだろうといわれる未来が来る日を望んで止みません


正しい情報を正しく受け取る

自分にとってのリスクとベネフィットを理解する


女性の一生に関わる、とてもとても大切な事だと思っています



熱く語ってしまいました...


最後までお読み頂きありがとうございましたピンク薔薇




参照


厚生労働省



日本婦人科腫瘍学会