夫の携帯を何度も鳴らすが
  熟睡していて全く起きる気配がない。
  当然寝てる子供さえも起こす
  覚悟で玄関のチャイムを鳴らす。
  それでも自宅からは物音一つしない。


  朝まで野宿…


  4月末ではあったが夜はまだ肌寒かった。
  日中は気温が上がるため
  薄着で外出していた。


  どこかの24時間、開いてるお店に入ろう。


  そう思っていた時私のスマホが鳴った。
  夫が目が覚めた!!!
  そう思ってスマホの画面を見ると
  そこに表示されていた名前は
  夫ではなく、Nさんだった。


  『あれ?ごめん。間違った。
      履歴から代行にかけたつもりだった笑
      無事に帰り着いた??』
  電話に出るとNさんはそう言った。


  『実はねー。家の鍵忘れて、
     締め出されちゃった。笑』

  『えっ!?旦那さん起きない?
     どうすんの今晩!?』

  『起きたって連絡が来るまで
      コンビニかどこかで時間潰そうかなー
      と思ってる。』

  『待って!!!
      女の子が夜中に1人でうろつくなんて
      危ない。うちにおいで。
      部屋も余ってる。絶対に何もしないから。』

  『でももし旦那にNさんの家に
      いたってことがバレたら
      それを考えるとNさんを巻き込めないよ。
      自分のせいで家に入れないんだから
      どうにかするから大丈夫!!!』

  『いや、ダメだって!バレた時は俺も謝る!
      どこか通り沿いで待ってて!
      代行に拾ってもらうから。
      それまでに旦那さんが起きたら
      家に帰ればいい。
      起きなければうちで朝が来るのを待つ!
      いいね?分かった???』


  それからNさんは
  今この辺りを通ってるよ。
  今ここの交差点だよ。
  夜中に外にいる私が不安にならないように
  逐一連絡をくれた。











  そして私はNさんと合流し
  Nさん宅へ向かった。