昼下がり、数日前とは比べ物にならない強い日差しに圧倒される

 

そろそろクーラーの解禁か、なんて考えながら空を見上げる

 

毎年、この季節になると思い出す光景がある

 

 

十数年前、小学生だった頃、「カッちゃん」という友人がいた

 

ある年の一番最初の暑い日に、カッちゃんはみんなを河川敷に呼び出してこう言った

 

「靴を飛ばして、川の向こう岸まで届かせよう。もうすぐ夏が始まるから。」

 

細かいことはあの頃の僕らにはどうでもよかった

 

面白そう、全てはそれだけよかった

 

だから僕らはカッちゃんの提案に乗った

 

しかし、誰の靴も向こう岸にはたどり着けなかった

 

僕の靴は、変な方向に飛んでいった

 

カッちゃんは僕らを見て笑っていた

 

「心が曲がってるやつの靴は、曲がって飛ぶんだ。見とけ。」

 

そう言ってカッちゃんは自分の右のスニーカーを思いっきり飛ばした

 

その靴は、

 

まっすぐに、

 

ただまっすぐに、

 

飛んでいった

 

その靴が川を越えられたのか、それは覚えていない

 

ただまっすぐ突き進むスニーカーだけが焼き付いている

 

 

カッちゃんは今、何をしているんだろうか

 

 

雲ひとつない青空を、飛行機が飛んでいく

 

迷いなく、まっすぐに

 

今年も夏が始まる