俺はメーカーの経理をやっているんだけど、うちの部署に、7月から、新入社員が配属された。
親分からは、直々に、新人の面倒を見るように指示されて、新人の席は俺のとなりにして、俺が、一から仕事と、社会人の何たるかを教えることになった。
超、信用されてるぜ!!

粋に感じたわ。ビシバシいくぜ。
実は、後輩の指導をした経験も、何回かある。学生時代はボランティアをやっていたし、
人の面倒を見るのは、結構好きなのだ。

振り返ると、俺が新入社員の時、
現場実習というのがあって、
工場現場で夜勤やってた。
男だらけの肉体労働だったから、殺るか殺られるかのサバンナだったけど、
社会人として、いろいろ教わった。

班単位で仕事をすることが多かったけど、サブリーダーの人は、
口癖が「ケツ掘るぞー」
で、出勤するとケツ掘るぞーと挨拶され、ことあるごとに、ケツ掘るぞーと怒られた。
そういう趣味の人の合言葉なのか。
班長だった人には、保護マスクをしてると、生意気だとよく奪いとられ、何かと小突かれた。
一週間に一回は女を抱かないと、いい仕事はできないもんだぜ、と教えられ、とても勉強になったけど、一週間に一回じゃ、やり足りないと思う。
その人は、かなりおもしろかったけど、
俺が研修を終えるとすぐに、仕事がだるくなったみたいで、会社を辞めてしまった。

俺は毎日研修日誌を
書かされていたけど、
だんだん、だるくなって、おもしろいギャグとか書いてた。
「こんなの上に報告できるか!」と怒られ、破られて、捨てられた。

世間の風はそんなものなのだ。

班のなかにいた、見るからにヤクザ風のスキンヘッドのおっさんが、
やたら面倒見がよくて、
休日に、これは誰にも内緒だぜ、と言って、自宅に食事の招待をしてくれた。
おっさんは50才くらいなのに、奥さんは25才くらいの美人の眼鏡かけてる保母さんで、
手料理をごちそうになり、やりたくなったけど、
おっさんが怖かったので、それは言い出せなかった。

信号でかわいい子がいるな、と思って手を振ったのが、
出会いのきっかけらしい。

俺が新人に教えられることって、
何だろうな。
ほかのやつは知らなくて、
俺だけが知ってることがあれば、
とりあえず、それを教えたい。