今回紹介する映画は、1961年公開の巨匠・黒澤明監督作品『用心棒』。
『用心棒』
監督:黒澤明
制作会社:東宝
出演:三船敏郎、仲代達也、山田五十鈴、志村隆、司洋子、東野英治郎、土屋嘉男、藤原釜足、加藤大介他
この作品を制作するにあたって、黒澤は従来のいわゆる「チャンバラ映画」ではなくリアルな描写の映像の可能性を模索していた。
たとえば、主人公である「桑畑三十郎」が相手を斬る際、必ず一人につき2度斬っている。これは、「1度斬っただけでは、すぐには死なないだろう。」という黒澤と三船敏郎のアイデアによるもの。
時代考証的には、作品中の小道具から見ておそらく幕末であろうと推察される。
また、効果音として刀の斬殺音が使用されたのは、今作が初めてのものである。
また、この作品は海外でも高く評価され、いくつかのリメイク作品が制作された。イタリアでは1964年にセルジオ・レオーネ監督による「荒野の用心棒」(主演:クリント・イーストウッド)、アメリカでは、1996年ウォルター・ヒル監督『ラストマン・スタンディング』(主演:ブルース・ウィリス)などがある。
リメイクではないが、アメリカ映画『ボディーガード』(主演:ケビン・コスナー)が劇中にて映画館で見ている作品が『用心棒』で、その1シーンがそのまま使われている。
あらすじ
幕末のとある宿場町。吹きすさぶ風の中一人の浪人がやってくる。桑畑に囲まれたこの町は、二つのヤクザの間の争いによって廃れていた。人々は疲弊し、ヤクザ同士の争いに恐れおののき身を隠すように生きていた。
争っているのは賭場の元締め:馬目の清兵衛と、その元部下だった内部抗争により分裂した丑寅一家。
双方ともにそれぞれ名主や造酒屋の有力者を後見人にしており抗争は終わる気配は無く、町の主産業である絹の取引も滞りがちであった。
居酒屋に立ち寄った浪人は、居酒屋の主人からこの町の状況を聞き、代金の代わりにこの宿場町を平穏にしてやるという。
浪人は、丑寅の子分を挑発して3人を瞬殺する。これをみた清兵衛は50両で浪人を用心棒として雇い入れる。その酒宴の席で、名を聞かれた浪人は、窓の外の桑畑を見ながら「桑畑三十郎だ。」と名乗る。
一気に丑寅一家を潰そうとする清兵衛だったが、女房おりんの策略(抗争が終わったら三十郎も始末してしまう計画だった)を察知した三十郎は土壇場で、用心棒代を突き返し離脱。
三十郎の狙いはこうだ。お互いの総力をあげた抗争を仕掛けて共倒れさせる算段だった。しかし、そこに八州廻りが来てしまいこの町の平静を装うために抗争は、一旦静まってしまう。
そこに丑寅の腹心の弟である卯之助が帰参し、事態は急変する。卯之助の仲立ちにより手打ちの準備が進められていくのだ。
このままでは、三十郎が狙っていた双方の抗争による共倒れの思惑が水の泡だ。
さて、三十郎はどのような策を持ってこの状況を打開していくのか?
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是非ご覧になって欲しい作品です。
ではまた、次の映画の紹介まで、お楽しみに。