①からのつづきです。



 日本の政治を考える上で、アメリカとの関係を外すわけにはいかない。


 基地や経済を通じてアメリカに押さえつけられて、国際政治では影が薄い日本の姿は情けない限りだが、それもまた現実。そういえば、先のサミットの時には、ドイツの地元新聞で、安倍さんの顔が間違っていたという脱力しそうな珍事もあった。国際政治での日本の位置って、これくらい低いらしい。


 アメリカ政治を考えるうえでは、ボブ・ウッドワードの著書が何より勉強になる。

 

 ウォーターゲート事件のスクープで知られる敏腕記者。彼が最近、続けているのが、ブッシュ政権の「対テロ戦争」の内幕を描くシリーズ。第三弾のペーパーバック版が出た。


 日本語に訳された第一弾「ブッシュの戦争 」と第二弾「攻撃計画 」は、ブッシュ政権がどうやって戦争開始を決めたのか、どう戦ったのか、秘密会議の内幕まで暴いていく取材力が圧巻だった。


 特に「攻撃計画 」では、ラムズフェルド国防長官(当時)がイラク戦争の作戦計画を練り上げていく過程が面白い。軍の配備や補給の確保などで、戦争準備には何ヶ月もかかるというそれまでの常識を覆そうと、ラムズフェルドは大幅な期間短縮を軍に求める。


 かつてのソ連のような明確な敵国がおらず、誰がいつ攻撃してくるか分からない対テロ戦争では、大統領の命令があったらすぐに戦争を開始することが必要、というのがその理屈。ラムズフェルドは国防大臣を辞めさせられた(その辞職に至る過程が、第3弾の「State of Denial」の主要テーマのひとつらしい)が、軍事作戦の考え方は、今後、どういう方向に変わっていくのだろうか。



 アメリカの軍事に対する考え方の変化は、在日米軍再編問題にも影響している。交渉の内情を、久江雅彦「米軍再編」 が伝えている。アメリカの軍事作戦の見直し(QDRという)が、在日米軍に対する考え方も変化させていることは、第二章「パラダイムが変わった」に詳しい。

 自国の利益を守ろうと組織的に交渉を進めるアメリカに対して、日本は交渉の司令塔といえる存在がなく、各省庁や官邸など関係者がバラバラに動き、交渉をいたずらに混乱させていたことも明かされている。



追加
 アマゾンに載っていた「State of Denial」ハードカバー版の紹介によると、イラク政策の失敗のなかでブッシュ政権中枢はヘンリー・キッシンジャーを事実上のアドバイザーとして迎えたらしい。
 そのキッシンジャーが、7月8日版の読売新聞連載「地球を読む」でイラク戦争を論じた。提唱していたのは、イラク周辺国を巻き込んで、多国間協議の枠組みを作ること。特に、イランをどうそこに参加させるかが、成功の鍵だという。この論説、ブッシュ政権中枢の事実上のアドバイザーの発言として読むと、今後の中東情勢を考える上で、かなり重要なものかも。


 通常国会が終わり、7月29日の投票日に向けて参院選が事実上スタートした。


ちまたの噂では与党が大苦戦中ということで、もし参院で過半数を大きく割るようなことになれば、衆院の解散総選挙など、さらに大変な政治の変わり目につながることも考えられる。


 いずれにしろ、暑い夏だ。


 書棚の1冊目は、参院選を考えるためにも、日本の選後政治史を知る上で欠かせない一冊。石川 真澄戦後政治史

敗戦直後の東久邇内閣から小泉内閣まで、それぞれの時期に起こった出来事や、それが日本の政治にもたらした意味をコンパクトにまとめている。

政治記者としてずっと日本の政治を見てきた人だけに(本書の刊行直後2004年7月に亡くなったが)、短い言葉のなかに深い含蓄がある。特に、選挙分析で有名な人なので、その辺も読みどころ。

 代わって2冊目は、最近の政治について、読売新聞政治部自民党を壊した男小泉政権1500日の真実


小泉内閣の実情がよく分かる。小泉政治によって変わったものが何だったのか、結局は変わらなかったものが何だったのか、実像を見極めることが、いまの安部政権のやっていることを考えるうえでも欠かせない。


小泉首相が辞めて、関連本は最近多く出ているけど、この本は政治部記者が集団で書いているだけに、誰がいつどういう発言をしたとか、記述の生々しさは天下一品だ。


同紙政治面の連載「政治の現場」をまとめたもので、この連載、現在も続いている。

安部政権時代をまとめたものも読みたいと思っているのだが、出さないのだろうか?


②につづきます。


しばらく放置していたので、リニューアルしました。


棚が1つしかない小さな本屋で

店主がお勧めの本を細々と売っているという感じです。