あれから一週間。
私はミスをする事が多くなった。
「コーヒー、アイスで頼んだんだけど…。」
「あっ、た、大変失礼いたしました!今、お取替えいたします。」





時計の針は午後6時を過ぎた。
はぁ〜っ
深いため息をつき、モップを動かす手を止め、窓際の椅子に腰掛けた。
そこへ、マスターが暖かいココアを持って来てくれた。
「どうしたんだい?まるで、初めて恋した女の子みたいなため息ついて。」
「え?!…」
「翔ちゃんに恋したのかな。あの日何かされた?」
「何かって⁇なにもするわけないじゃないですか!!!!!!!」
「…おい、おい。冗談だよ??(笑)
らしくないね。ムキになって……」
「…あ、あの…ごめんなさい。」
俯いた頬と耳まで 真っ赤になっている姿を見て、マスターは確信した…彼女の自分でさえ気付かない気持ちに。
「あの、マスター…櫻井さんの連絡先知りたいのですが。あ、あの、借りた服をお返ししないと。」
「あ、監督に聞いとくわ。…俺ねぇ、監督…そう、愛美と付き合ってたんだ。バー時代。」
「え??」
突然の告白に戸惑いをかくせない。なぜなら…マスターは学生結婚をし、すぐ子どもが出来た…それから バーを開いた…
戸惑う私をからかうような あしらうような話ぶりを続ける。
「愛美はさ、その頃、俺のファンだってね…毎晩 バーに来てな。いつしか、こっちも気になり出してよ…ま。そんな関係だわ。 だから、同じだよ。君たちと。」
「え?!」
この時、気付いた…いや、気付いてはいけないことだった。
同じ…って…
「俺は あと少しで 世界一の称号を手にするところだったんだ…ハハ…スキャンダルは怖いよ…全てを失うから。彼、気をつけないと。天下のジャニーズだからね。」
程なくして、奥さんは娘を連れて家を出たそうだ…監督もその頃、新作がヒットして名が知れ渡るようになり、注目されるようになった。
それが、マスターが辞退した理由だったのだろう…
それ以上 マスターは口を開くことはなかった。





マスターから聞いた連絡先を登録した。
先日のお礼と服を返したい旨を伝えるLINEを送ると、すぐ既読がついた。
あの後、体調崩しませんでしたか。
服は急ぎませんから、気にしないで下さいね。
また連絡します。
翔は、番組撮影の休憩中だった。
次々、指は言葉を放とうとするが、気持ちを抑え4行で送信をした。
すぐ 返事が来る。
お忙しい中の返信を
ありがとうございます(*´꒳`*)
あれ、ところで…
私、いつ着替えたのでしょう…
LINEを打ちながら、青ざめてきた…下着は…着ていた…よね…あれ?
すぐの既読と返信。
さて、どうしたのでしょう。
後日、ゆっくり話しますね(笑)
え…(笑)で終わってる…
見られた…

