9月25日午前4時

 

生まれて初めて救急車を呼びました。

都会の真ん中ということもあり、サイレンの音がすぐに近づいてきて、10分でインターホンが押されたのですが(それを玄関で待っている間も吐き気が酷く床によだれをダラダラ垂らしていました)、そこから先が難儀でした。

まず、救急隊員さんたちは「夏風邪と言われたが吐き気が酷い」という割とありがちな雰囲気の症状で呼び出されているので、ほんの少し冷淡です。

そして私が住んでいるのはマンションの上の方の階で、ストレッチャーは大きすぎてエレベーターには載りませんでした。

「自分で歩けるなら歩いて出てきてください」

ということになり、靴を履いて体を90°に折り曲げながら歩いて出てくるしかありませんでした。

そして1階に着くとストレッチャーに乗るのですが、これも硬くて冷たくてあまり寝心地の良いものではありません。

 

寝心地のことは仕方ないとして、救急車に担ぎ込まれたのですが、そこからが一番大変でした。

何せ救急隊員さんたちが手分けしてどんなに電話をかけて回っても、どこの病院も私を受け入れてくれないのです。

最初に身分証の提示を求められた時に大学の学生証を出したので、そこの大学病院に最初にかけてくれたのですが(おたくの学生さんです!と言ってくれました)、にべもなく断られ……

そこから2人の救急隊員さんがどんどん色々な病院にかけてくれたのですが、空きがない、空きがない、今は受け入れていない……

ないと思っていた熱が救急隊員さんに測られると38℃あったのも影響したかもしれません。

コロナじゃないって言われてますとは説明したんですけどね……

救急車の受け入れ先がないなんて話はその頃よく聞きましたが、まさか自分がその割を食うとは思ってもみないものです。

 

そうこうしているうちに救急車が到着してから1時間経っていました。

場所は未だにマンションの玄関前、具合が悪いのに寝心地は悪いし白い明かりで眩しいし、こんなことなら大人しく部屋で寝てればよかったかななどと思ったものです。

そして1時間が過ぎた頃、ようやく救いの声が聞こえてきました。

「〇〇さん、T病院が受け入れてくれるそうなのでそちらに向かいます。10分くらいで着くと思います」

知らない病院でしたがそんなことで文句のあるはずもなく、たちまちサイレンを鳴らして運ばれていきました。

かくして午前5時過ぎ、救急車でT病院に運び込まれたのです。