3年。



この数字が、私の人生にどれほどの重みと意味をもたらしたか、言葉では言い尽くせません。

私にとって、それはただの時間の経過ではなく、「命の尊さ」を心の底から実感し、決して諦めない「希望」を育んだ、長くもかけがえのない道のりでした。








結婚して数年が経ち、漠然と「そろそろ赤ちゃんが欲しいな」と思い始めた頃、私たちは自然に授かることを期待していました。

周りの友人が次々と妊娠・出産していく中、焦りを感じ始めたのは、私たちが結婚して2年目を迎えた頃だったと思います。




婦人科を受診し、検査の結果、「妊娠がしづらい」という言葉を告げられた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。

頭が真っ白になり、目の前が真っ暗になったような気がしました。

なぜ、私だけが?何がいけなかったのだろう?

そんな自問自答を繰り返す日々が始まりました。






不妊治療と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。

私たちはまず、比較的負担の少ないタイミング法からスタートしました。

最初は「これで赤ちゃんが来てくれるかもしれない」という希望に満ちていましたが、期待と落胆を繰り返すうちに、心は少しずつすり減っていきました。

生理が来るたびに、まるで自分の努力が全て否定されたかのような、深い悲しみに襲われました。






次に試したのは、人工授精でした。

より妊娠の確率が高まると言われ、私たちは新たな希望を抱きました。



しかし、何回か試しても結果は出ず、費用も時間も精神的な負担も増えていきました。

毎月、病院の待合室で感じる独特の緊張感、そして診察室で告げられる結果に一喜一憂する日々は、まるでジェットコースターのようでした。




そんな中でも、私たち夫婦は決して諦めませんでした。

夫はいつも私の隣で、どんな時も寄り添い、励ましてくれました。

治療は、私一人で抱え込むものではなく、夫婦二人三脚で乗り越えるものなのだと、改めて実感しました。



クリニックの先生や看護師さんたちも、私たちの気持ちに寄り添い、時には厳しく、時には優しく、私たちを導いてくれました。




3年という月日は、決して短くはありませんでした。

時には心が折れそうになり、全てを投げ出したくなることもありました。

しかし、その度に「赤ちゃんに会いたい」という強い願いが、私を奮い立たせてくれました。





そして、ついにその日は訪れたのです。




妊娠検査薬に陽性のサインがくっきりと現れた瞬間、私たちは抱き合って涙しました。

3年間の不妊治療は、私に多くのことを教えてくれました。




命の尊さ、そしてどんなに困難な状況でも希望を失わないことの大切さ。




この経験が、その後の私の育児、そして人生において、かけがえのない財産となることを、この時の私はまだ知る由もありませんでした。




この長い道のりを乗り越えられたのは、「いつか我が子をこの腕に抱きたい」という、ただその一心だったのです。