「倉本聰」的な演出の話 | テクスファーム小林のブログ

「倉本聰」的な演出の話

この前、見た「田舎に泊まろう」に
鼠先輩が出ていた。

「新潟美少女図鑑」編集長のブログ

どこの田舎かは分からないが、

日が暮れた頃、
ふいにカメラとともに、この風貌の人が訪ねて来て、
オバちゃん達は、大層、困惑していた。



どの家のオバちゃんも同様のリアクションだった。


え?夕飯を食べたいの?
はぁー、泊まりたいの?
ねずみ?せんぱい?

それが名前なの。

えッ、歌手なの?


といった具合だ。
その表情には、ありありと差別の色があり
見ている僕は大層、傷ついた。

でも、オバちゃん達は、悪くない。
あんな風貌の人が来たら、絶対に入れてはダメだ。
タレントだと本人は言っているが、そんなの本当かどうか分からない。
本当だとしても、自分が知らない程度のタレントに有り難みもクソもない。

一方、鼠先輩も悪いところなんてない。
それが仕事だ。今は、そういう仕事しか来ない。
テレビ的に欲しい絵をもらって帰るしかない。

どんなに侮蔑的な態度でも、むしろ、それがオイシイんだ。
マシンになれ。感情を捨てるんだ。

その構図に胸が痛んだ。

何とか鼠先輩は、自分のことを知っているという家族にブチ当たり
どうにか泊めてもらい、
親類縁者を集めた宴会でベロ酔いして、寝て帰って行った。


そんな感じで「鼠先輩の巻」が終わり、
そのまま「次のタレントが別の田舎に行く」の巻も引き続き放送。

こっちは「胸を痛めた」というより
胸くそ悪くなる放送内容で。

そのタレントは、僕が知らないオバさんで、歌手のようだ。
何かは忘れたが、有名な唄を歌っていた人で50代の知名度は抜群だった。

このババアが、また「頂けたりするかしら?」ババアで。

干物を売っている田舎のオバアちゃんに
この干物、美味しそうね。頂けたりする?
と言ったり

誰がどう見てもイカをさばいているオジちゃんに
何してるの?イカをさばいているのねぇー
(ちょっと食べさせてくれます?の目くばせ)と言ったり。

何でもおねだりしていた。
気のいい田舎の人たちは、有名な歌手さんだから、なんでも献上していた。

見ている僕は、すっげイヤな気持ちになった。

田舎もんは、なんでもお裾分けするわけじゃねんだぞ。
カメラの力とタレントの威光を振りかざして、田舎を踏み荒らしてんじゃねーよ。
って感情だ。

この日、「田舎に泊まろう」が欲しかった絵
・知名度の低い、色物タレントが田舎で悪戦苦闘。
・あの懐かしの歌手が、おらが街に来て色めき立つ田舎町。

そんなシーンの随所を彩るのは「2つのアングルからの差別」。
この辺の感情をエグリ出すのが得意なのは、倉本聰。
もちろん、田舎に泊まろうの制作者は、倉本聰を意識してねーだろうけど。


♪るーるー、るるるるーう、あーあーあああああぁー、

父さん、僕は、田舎に泊まろうを見て
倉本聰のドラマのシーンがフラッシュバックしたワケで。