自分の人生が変わらんと受け入れたけど
思うのは 私は麻原のお気に入りになる条件が揃っとる って事 中川さんが嘘をついて
拉致を断念させても 八つ当たりは酷かったやろ 

ゲルニカ事件の女子生徒だけじゃなく
ロシアにも親戚がいる 第二次世界大戦の時は
ソ連軍の兵士達やったし 探すのは簡単やんか

資産家の一人娘が私の曾祖母
家族で亡命で日本の横須賀に来て
親戚はそのままロシアで軍人だらけ
上祐さんをロシアに行かせて早川パパが
窓口になっとるから行かせれば更に道が開ける

資産家で亡命は目立つ事実やから
探せば簡単に曾祖母の身内に辿り着く
日本人と結婚した事も私の祖父が19歳の時
学徒出陣で海軍に 海軍少尉が肩書きなのも
終戦の時点で知っとったんよ

だから私が祖父の孫娘
一人娘の曾祖母に似すぎとるのもあるし
写真を見せて名前を言えば身内だと言うやろ

麻原の計画が縮小していったのは
ロシアからのヘリコプターが壊れて
現実不可 だと思ったからで
壊れないヘリコプターが手に入ったとしたら
これに私は昨日気づいたんよね

私はロシアにも親戚がいて
私と同じ歳の人間はまだ17歳としても
親世代が軍人やったら ・・・と考えたら
中川さんの決断が 英断 と思えてきたんよ

麻原の妄想が現実になる
それは私が麻原の側に行ったら ・・・

私の叔母が祖母に対して
放棄した遺産の話をしてたんやけど
曾祖母は資産家の一人娘 曽祖父は旧家の地主
祖母が妻の座を取ってなかったら金はある

曽祖父母が三姉妹を
おじいちゃんの娘と認めていれば
跡継ぎのおじいちゃんが死んだとしても
本家で育てられてお嬢様生活やったやろ

それを考えても
曾祖母がロシアの親戚と連絡を取り合う仲
これは間違いないんやからさ

本家の人間も巻き込んだ話になるよね
ロシアの親戚を巻き込むのは私は知らん

中川さんに聞いてたんよ
拉致せんかった理由 その中に 胸騒ぎがしたのも理由のひとつ と言ってたのがあって
カンの鋭さは当然で私の立場は別にしても
麻原の計画の遂行に私が役立つとか 、怖すぎやん

自分の事ながら嫌になった
ロシア の文字で今の今まで分からんのは
正確な答え合わせやけんよ

まぁ 、麻原は失敗する
私に内緒でロシアの親戚を見つけたとしても
私を同行せんで私の写真と名前を言っても
要件を話した時点で鼻で笑われるだけやろ

全員がカトリックで
オウム真理教の教義を聞いたとて
胡散臭く感じる身内だらけと思うしね

私は悪くないと思うけど
そんな環境で産まれて自分の立場もある

だから麻原は 広がる世界を取った
中川さんと結婚させて生きる駒に作り上げる
上祐さんと一緒に居させて 運命共同体
これに作り替える

実行部隊の幹部達を逃亡させて
残るのは上祐さんと私やんか 

中川さんは自分の子供が人質
上祐さんは私と子供2人 出産して
2週間で軟禁される それを見るだけでも
麻原の狂った様が分かるのに村井さんの事も
疑心暗鬼 な気持ちが有りながらも
それを麻原に言う事は出来んやんか

自分より後に入ってきた村井さんで
自分と違う意味での立ち位置で 同じ正大師
その人が殺されてどんな冷静な人でも
疑心暗鬼になると思うよ

日本中に嘘をつく前に
麻原は重すぎる事実を話すんやから
知った時は自分の役割を果たすしかない

私は配置されてしまった後
中川さんが逃亡する日にサティアンに
私達が住んでた広い部屋やけど
軟禁から監禁に変わるのは早い

警察が来ても探すまで時間がかかる
サティアンは複雑な作りになってたり
部屋数が多すぎて探し当てるまでに
麻原は隠し部屋に逃げていられる

私が警察の相手をしとる間は
捜査の手が自分に及ばない 、と思いたいだけ
時間稼ぎは出来るやろけど信者は排除されてく
子供達は連れて行かれる

カオスな状態でも
上祐さんが上手くしてくれる
私がいい仕事をしてくれる
中川さんが犯罪を行ってくれる
確かに配置は完璧だと思うけど
私は名前を呼ばれて 保護命令 これで
保護されるんやから 保護された時点で
麻原は1人 上祐さんは東京 中川さんは
東京で犯罪を繰り返しよる

末期の麻原は
普通に考えたら分かる事が分からん
人柱の意味が違うやんか 、私を監禁しても
麻原と一緒に居ての人柱の意味になるのに
男二人を動かすため それだけを見て
自分は隠し部屋に居るから勘違いしとるやん

私の親と議員は会って話す
先生は関係ない 私の事は5年生と中学時代
それが理由になるのでゲルニカと関係ないんよ

あの親二人なら
娘と子供を保護してください
こんな風に頭を下げる筈やからね

私が見つかった同日に麻原が逮捕
次の日の夜に中川さんが逮捕

その数十時間の誤差の間 私は警視庁の中で
中川さんの行方をカマをかけられつつ
上祐さんの側にいた人間という事で
加担した犯罪について厳しく聞かれてしまう

幹部の中でも特別だと思われとるから
仕方ないんやろけど 私が何を言っても
兄を庇う妹 としか思われん

村井さんの刺殺事件の事も
麻原の指示と決めつけて言われても
私は本当の話を知らんのやから
何も言えんくない ?

麻原の保険はこれもそう
三者三様の気持ち 一緒に過ごした時間は
嘘じゃない 色んな話をして笑ったりしてて 
一緒にご飯食べたり仕事中に疲れて眠ったら
布団をかけてくれたり 何気ない日常すらも
苦しむ道具になるように 、中川さんは逮捕
上祐さんは嘘をつきよる最中 私は事情聴取
その中でも言い争いながらも関係は続くやんか

これこそ麻原が望んだ先々の姿
情がない人間が望んだ 情の姿 中川さんは
麻原を裏切るまで時間がかかる人やけど
私と上祐さんは現実の重さを突きつけられる二人
中川さんは心配ないと思われるって 、ねぇ

私は冷たい人間やから
村井さん事件について何を言われても
はぁ ? こんな事しか言えん 

残された村井さんの女の人
子供二人の顔は頭に浮かんでくるけど
私とは関係ない人達の話

いつの間にか
私は麻原の愛人の女帝の人より
核心を知る立場にされるのも麻原の手腕

使い勝手がここまで良いのは私だけやろね

怖いことに麻原にすれば
上祐はお前に残してやった
こう思う事 中川さんの存在は最初から無視
全てをスパイさせる訳ないやんか

村井さんがスパイだって事はバレバレ
自由な立場を利用すれば色んな話は出来る
東京でも会える 山梨でも外で会える

マンションに移されて
中川さんに盗聴器を渡して
盗聴器を家のどこからしらに付けろと言っても
あの人はそれだけは出来ん

家に帰ってまで
話を聞かれるって嫌すぎるやんか

玄関に入るなり
倒れ込んで眠るのもバレる
私に怒られて服のまま風呂に連れて行かれて
死んだような顔のまま 私に頭を洗われる 、とか
知られたら 折檻が再開 だから付けんのよ

私にバレました 、と嘘をつく方がマシ

だから上祐さんがロシアに行こうが
国際電話は出来る 私が見た事を話して
私の感じる不信感をぶつけても大丈夫

関係が成り立っている仲なら
上祐さんは余計な事は絶対に言わない人

麻原って本当に信頼出来る人間が居らんから
感情 これが分からんのやろね

中川さんが逮捕されたら
私なら離婚する 培った関係は別と考えるとして
そこに上祐さんがいれば関係性が変わる

夢から醒める瞬間 これがある事も知らん
自分のダーキニーを大切にしとるフリをしとる
奥さんを平気で裏切ったりしよったから
人の感情 を知らんまま逮捕されたんよ

中川さんが逮捕されて 即離婚
そうなると思うのに自分の離婚は考えん

人間の感情って
成長する段階で培っていかんと無理やんか

私は復讐を考えるけど
その他の人間に対しては優しさがある
どんな環境だろうが自分が好きな人は信じる

お兄ちゃんみたいで好きなのが上祐さん
その人には何でも話せるけど男と見とらん
それが分からんって不幸すぎるよね

中川さんだって優しすぎる人
上祐さんに怒られる事だとしても
中川さんは一度も私を怒ったりせんのよ

いつも うん うん って話を聞いてくれる
人間性は大好きな人やったから
麻原に言われるまま結婚も出来たんであって
他の幹部を言われたら拒否しまくっとった

子供達に対しては
優しいパパ この言葉以外はない
逮捕されて次から次へと罪が増えてく
再逮捕 再逮捕 再逮捕 となっても
離婚届が教団の弁護士から渡されたって
怒りがある内は怒りに任せてサインしたくなる

その足で役所に行って提出したくなる

それを止めてくれるのが上祐さんなんやから
直ぐに 身体の関係 だと思うのは
麻原がそうやけんよ

麻原なら女の子が自分の隣で
横になってたら なんたらかんたら
嘘ペラペラで身体の関係になるやろね

私が感情が消えた顔のまま
青山に来て上祐さんの部屋に突然入っても
布団の上で寝転がる私に対して何かをしながら
大阪支部の時の中川くんは … 
私の知らん中川智正を話してくれるんよ

私が 久留米に帰りたいね と言ったって
同じ久留米で生まれとるから 久留米にいた頃は幸せやったしな と返事をしてくれたり
情は色んな形があるのにさ

恋愛感情がなくても
家族になったパターンの二人でも
同じ時 を生きてきたから
怒りだけで片付けられんと思わん ?

現実はどんなに悲惨でも
目を背ける訳にはいかん

どちらの親も離婚しろと言う
離婚届は私の手元にあるけど
現実の辛さから青山に出向いても
公安から知られとるんやから関係ない
 
普通に中に入れる
中に入れば信者は挨拶してくる
上祐さんの部屋に勝手に入っても
主が居なくても部屋に入るのに
必ずノックをしてお茶を運んできてくれる

麻原は別にして
同じ日に拉致された女の子との友達関係
村井さんを別にして幹部との関係
オウムを外しても関係がある人達ばかり
いつも殺伐としてたんじゃないから余計に

麻原と笑い合った事もある
早川パパに怒られる事もあるけど
武闘派の皆様の場所に遊びに行くと
私の大好きないちごミルクのジュースをくれる

子供を中川さんに預けて
夜のサティアンで東京から帰る時に
見つけた花火を買ってきたから
同じ日に拉致されてきた女の子と二人で
花火をしながらお菓子を食べつつ女子トーク 

どうしても浴衣が着たくて
二番目を妊娠中でも初期で腹が出てない
我儘を言って信者のお母さんに着せてもらって
東京の青山で着せてもらったから そのまま
お祭りに行こうとして連絡を受けた中川さんが
東京の診療所に用事で行ってたのに
慌てて青山まで来て1人で祭りは行けずな事も

中川さんも一緒の条件で
少しだけ祭りに行って好きなモノを買う
そこに居た信者と上祐さんにお土産で 焼き鳥
麻原には電話して 皆に焼き鳥買ってきたから食べよるけん と言うだけでOK

こんな風な思い出もあれば
簡単に選択は出来んと思うのに 
麻原は可哀想な人だと思うのは前から

だからって許せんけど
可哀想だとは思う

私が弱さを見せられるんやから
ホントに上祐さんは好きやったんやろね

だから逮捕を見て泣いたのも
頷けるんよね