黒南風やドックの船の女神の名    しのぶ

 

ひとを待つ白服風のプラタナス

 

本郷へ曲る坂道楓の実

 

打水のはねて眩しき蔵の町     悠人

 

シャンソンの重き響きの溽暑なり

 

 先月、我が家の水槽のヌマエビが大繁殖している話について書いたが、このヌマエビがさらに産卵し、7~80匹を数えるまでになった。そして、昨日、これらのヌマエビが水草をほぼ食べつくしてしまったので買いに出かけた。水草を2種類買って、苔を食べてもらうように石巻貝を5匹ほど、楊貴妃メダカを3匹ほど買って帰った。

 水槽の水もかなり蒸発していたこともあり、それらを一気に水槽に入れた。新たな水が約1/4加わった。きっとその水のペーハーとかが微妙に合わなかったのだろう。一夜明けて、あんなにいたヌマエビが大きいものから小さいものまで死んでしまったのだ。それでも5~6匹は生き残ったので、またいずれ増えていくことと思う。

 ふと「ジェノサイド」という言葉が浮かんだ。エビにしてみれば、大きな環境の変化が起きたというわけだが、水槽を地球に置き換えた場合、そこに住む小動物の人間は大きな環境の変化についていけるか…。自分の場合、意図せず水槽の環境破壊をしてしまったわけだが、今や人間は、この先、いつかどうにもならなくなるだろうという懸念を抱きつつも、今の利益のことばかりに計算高くなっている。自然をもとに戻そうという努力がないわけではないが、それにもまして、破壊の方が速いスピードで進んでいる。…そんな天罰がくだらないことを祈るのみだ。