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我が家の水槽には、ヒメダカと沼エビとが生息している。

しばらく前まではドジョウも一匹いた。

この沼エビが繁殖しすぎて、今や50匹はいると思う。

いま思えば、ドジョウにしてみれば、自分の住処の水底にうようよ蠢くこのエビが鬱陶しくてたまらなかったろうと思う。背中をエビが這いまわったりもしていたから。

そんなストレスからか、ドジョウはしばらく上へ下へかなり活動的に動いていた。

が、ある日水槽の水を半分変えようと水槽の底の泥水を吸い上げてきれいな水に入れ替えた。すると、ドジョウが見当たらない。…エビたちに喰われてしまったのだ。

骨のかけら一つ残さず。

普段これらのエビは、水草を食べているが、メダカも死んでしまうと跡形もなくそれを食べる。奴ら、メダカの餌の“おこぼれ”にも預かっているのだろう。とにかく食欲旺盛だ。自然界のピラミッドを思うと、こういう底辺にいる奴たちが最後まで生き延びるんだろうと、なんとなく思った。