歳時記を見ると、立秋を挟んで6日の「広島忌」は夏の季語で、9日の「長崎忌」は秋の季語としてそれぞれ載っている。

 

プルトニウムを発見したキュリー夫人は、こんな形でそのエネルギーが使われようとは、夢にも思わなかっただろう。科学技術の発展は、平和利用、善用を意図して開発されても、必ずどこかで悪用に転じられる。そして善用で使われる力よりも遙かに巨大で広範囲に悪用される。

 

先日、TVで人類に害を及ぼす危険生物の1位に蚊が上げられていたが、人間にもっとも大きな害を及ぼす危険生物は人間そのもののような気がする。憎しみの連鎖を断ち切るだけの勇気を人間は持ち合わせていないのかもしれない。

原爆忌―人間の愚かさ無力さをより痛感する忌日である。

 

原爆忌使徒のごとくに身灼きをり  小林康治

珊瑚樹の朱き実房や長崎忌     斎藤朗笛