最近では風邪をひけば風邪薬、咳は咳止め。ビタミンCはサプリ。そんなのでやればいいという風潮があるんですけども。本来、季節の到来の前には、その果物や野菜などに病気を予防する効果があるんですね。ですから、その季節の食べ物は、ちゃんと意味があるんです。
吉野敏明


引用元:今が旬の大根を食べよう! 大根はビタミンミネラルが豊富なだけでなく 食物繊維や消化酵素も含み、風邪の予防のみならず 治療までできる万能薬!

 

 

 

 

 

 

 
冬の訪れとともに、旬を迎える大根――その白く瑞々しい根には、ビタミンやミネラルだけでなく、消化酵素や食物繊維、さらには辛み成分がぎゅっと詰まっており、ただの野菜以上の“薬草的”なパワーを秘めています。旬の大根を食べることは風邪予防や免疫力アップ、消化の助け、体調の整えに直結する。大根の知られざる魅力を改めて見直してみます。

 

 

1. なぜ今、大根を食べるべきか

よしりんは「今から11月〜1月末ぐらいまでが一番美味しい時期」といいます。寒さが深まるこの時期、大根は土の中で旨味と水分を蓄え、味も栄養価もピークを迎えます。まさに“旬” ――。
旬の大根を食べることには、単に美味しさだけでなく、身体の状態や季節に即した栄養の補給という意味もあるのです。

 

2. 大根の栄養 ― ビタミン・ミネラル・食物繊維

大根の根や葉には多様な栄養素が含まれています。例えば、根にはビタミン C、カリウム、カルシウム、食物繊維が豊富です。特に食物繊維は便通を整え、脂質やナトリウムなどの不要なものを体外に排出する手助けをします。
 
また、葉に目を向けると、β-カロテン(体内でビタミン A に変換)やカルシウム、ビタミンC、ミネラルが豊富であり、骨や粘膜、血管などの健康にも役立ちます。
 
つまり、根・葉を丸ごと使えば、大根はビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく補える、非常に優れた野菜です。

 

3. 消化酵素と辛み成分 ― まさに“薬効食材”としての大根

よしりんは「大根おろし」にこだわり、その理由として大根に含まれる消化酵素の存在と、それによる消化・代謝のサポートを挙げています。大根には、でんぷんを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)、脂質を分解するリパーゼ、さらにはたんぱく質分解酵素や発がん物質を抑える酵素などが含まれ、胃腸の負担を和らげ、脂っこい食事や重い食事を食べた後にも役立ちます。
 
さらに、大根の辛み成分であるイソチオシアネートには、抗酸化作用や抗炎症作用があるとされ、免疫力の底上げや、体内の余分な活性酸素の除去なども期待できます。
 
よしりんも次のように語っています。
 
「大根おろしは酵素もビタミンCも最大で、胃腸を整えて免疫力を強化する」
 
つまり、大根を“生”で、おろしやサラダでいただくのは、栄養を壊さず吸収するための最適な方法なのです。

 

4. 生活習慣病予防や免疫力アップにも ― 大根の多面的な健康効果

大根は低カロリーかつ高食物繊維の非でんぷん性野菜であり、体重管理や血糖値、脂質のコントロールにも役立ちます。
 
また、食物繊維やカリウムは、ナトリウムと水分のバランスを整え、むくみの改善や高血圧の予防にもつながります。
 
そして、ビタミン C やイソチオシアネートといった抗酸化成分、酵素の働きは、免疫システムをサポートし、風邪や感染症の予防、さらに活性酸素や炎症から身体を守る役割にも期待されます。
 
まさに、よしりんが言うように「万能薬」のような野菜 ― 栄養、消化、免疫、代謝までケアしてくれる日々の味方なのです。

 

5. おすすめの食べ方 ― 栄養を逃さず、美味しく

前述したように、よしりんは特に「大根おろし」を勧めています。生で食べることで酵素やビタミンC、辛み成分を壊さず摂取できるからです。「焼き魚」に大根おろしを添えるのは理にかなった伝統食なのです。
 
専門家の栄養コラムでも、生食を基本に、「皮ごとおろす」「食べる直前におろす」といった工夫が薦められています。加熱すると酵素が失われたり、辛み成分の揮発が進んだりするためです。
 
また、乾燥させた「切り干し大根」を使えば、食物繊維やカルシウムが凝縮され、保存もきくため、常備菜としても優秀です。
 
葉付きの大根が手に入れば、葉の部分も捨てずに炒め物や味噌汁に加えるのがおすすめ。β-カロテンやカルシウムなど、根とはまた違った栄養が摂れます。
 
よしりん曰く、
「切り干し大根なんかは保存できる。少量でもたくさん食べられて、スーパーフードなんですよ」

 

6. 大根を“単なる野菜”で終わらせない ― 伝統と知恵としての大根

よしりんは、大根を通じて「和食」「季節の食」「日本の農業」「伝統文化」への回帰を呼びかけます。単に健康のためだけでなく、旬を大切にし、土地の恵みをいただくことは、自然と調和し、昔ながらの知恵を継承することでもあるのです。
 
よしりんは、次のようにいいます。
「ただ単に皆さんが健康になったり病気を予防するだけじゃなくって、日本の農業を守るとか日本の伝統文化を守るとかね」
 
現代はサプリや加工食品、便利な栄養摂取手段に頼りがちですが、旬の野菜を旬に食べることには、身体だけでなく、心や文化、地域とのつながりを育む意味があるのです。
 
大根を大根おろしにするのが面倒だと思う人もいるかもしれません。しかし、そのひと手間こそが、身体と自然、文化をつなぐ大切な営みだったのです。

 

まとめ

冬の定番野菜である大根は、旬の今こそ、大根おろしや切り干し、葉も含めて、その栄養と薬効を余すところなく享受したいものです。ビタミンやミネラル、食物繊維、消化酵素、辛み成分――それらが組み合わさり、風邪・消化不良・生活習慣予防から、免疫力アップ、美肌、腸内環境改善にまで役立つ“オールラウンダー食材”です。ただの食材としてではなく、季節と体をつなぐ“養生の知恵”として、大根を食卓に取り入れてみましょう。