生まれてから6歳ぐらいまでの間に、どれだけたくさんやるかによって、生涯のその人の免疫力が決まるわけ。すごく大事なんですよ。だから、はしかになったり水疱瘡になったりしないといけないの。で、この時に余計な予防接種とかを打って、例えば水疱瘡の注射を打ってもそんなに長く効かないから、ちゃんと抗体ができない人が高齢者になると劇症型の帯状疱疹になるわけ。
吉野敏明
引用元:増加する帯状疱疹、特にリウマチなどで免疫抑制剤を使っている患者に激増 なぜ帯状疱疹になり なぜ帯状疱疹が増え なぜ免疫抑制剤を使うと帯状疱疹が激増するのかを詳しく解説
今回は「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」とは何かを整理し、その発症メカニズムについて解説します。近年、帯状疱疹の患者数が増加しており、特にリウマチなどで免疫抑制剤を使用している患者において、帯状疱疹が「激増」しているのです。その理由と予防や対策、日常で気をつけたいポイントについて触れています。
1. 帯状疱疹とは何か
まず、帯状疱疹について整理します。
このウイルス感染症は、幼少期の水痘としての感染を経て、体内の神経節に潜伏したままになります。後年、免疫力が低下したタイミングで潜伏ウイルスが再活性化して、痛みを伴う帯状の発疹、神経症状を引き起こすのが「帯状疱疹」です。
よしりんも、「生涯ずっと体の中にあるウイルスが、免疫の隙をついて顔を出してくる」と説明しています。
大まかなポイントとしては
- 一次感染(多くの場合水痘)→神経節への潜伏
- 免疫低下 → 再活性化
- 知覚神経節から皮膚へ → 帯状疱疹の発症
- 高齢・免疫低下・ストレス・疲労などが誘因
さらに、再活性化したウイルスは神経痛を残す「帯状疱疹後神経痛(PHN: post-herpetic neuralgia)」を起こすこともあります。このように、ただの「皮膚のブツブツ」ではなく、神経・免疫・ウイルスの三位一体で理解する必要があります。
2. なぜ帯状疱疹が増えているのか
次に、帯状疱疹が近年増加傾向にある背景を、動画の内容も交えて考えてみます。
高齢化社会と免疫力の低下
日本をはじめ多くの国で高齢化が進んでおり、高齢者ほど細胞性免疫が弱くなります。実際、50代以降、帯状疱疹の罹患率が上昇するというデータもあります。このように「年を取る=免疫の隙が生まれやすい」という構図が、増加の下地となっています。
医療技術・治療の変化
リウマチや膠原病、炎症性腸疾患などで使用される免疫抑制剤や生物学的製剤(例えばTNF-α阻害薬、JAK阻害薬など)が近年広く使われるようになったことも、帯状疱疹増加の一因です。動画では「免疫を抑える薬を使ったら、潜伏ウイルスが目を覚ましやすくなる」とよしりんは指摘しています。
生活習慣・感染環境の変化
よしりん曰く、「四毒による慢性的な炎症状態が免疫を下げる」。「免疫の力を日常的に守る」というのは必須と言えるでしょう。
さらに、ウイルス自体が変化しているというわけではなく、むしろ「免疫の隙・抑制された環境」が発症を誘導しているのです
3. なぜ免疫抑制剤を使うと帯状疱疹が激増するのか
では、具体的に「免疫抑制剤使用が帯状疱疹発症を増加させるのか」を、よしりんの説明をもとにまとめます。
細胞性免疫の要:マクロファージ・T細胞・サイトカイン
マクロファージがウイルス・細菌を“食べる”(貪食作用)、それをヘルパーT細胞がマクロファージから提示を受けて免疫反応を起こす、といった流れです。
この「食べる→提示する→免疫記憶を作る」という一連のプロセスが“細胞性免疫”であり、潜伏ウイルスの再活性化を抑えるために非常に重要だということです。
免疫抑制剤の作用とリスク
免疫抑制剤(たとえばTNF-α阻害薬、JAK阻害薬等)は、病気(例:関節リウマチ)で免疫が過剰に反応して自分の組織を攻撃してしまう“自己免疫”を抑える目的で用いられます。しかし、この抑える対象には“潜伏ウイルスを制御する免疫”も含まれています。実際に、「免疫抑制状態では帯状疱疹の発症リスクが高く、重症化しやすい」との報告があります。
具体的なメカニズム
まとめると、以下のようなプロセスが考えられます。
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潜伏ウイルス(VZV)が神経節に存在。通常、細胞性免疫がそれを抑えている。
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免疫抑制剤の使用によって、マクロファージやT細胞、サイトカイン(例:TNF-α)が正常に働かなくなる。
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そのため、潜伏ウイルスが再活性化しやすくなり、帯状疱疹を発症する。
よしりんは「免疫抑制剤を使っているあなたが、帯状疱疹を作る側になっている」と言います。
4. 実践的な予防と対策
こうした状況を踏まえて、よしりんが以下のような実践ポイントを挙げています。
免疫維持・生活習慣
- 「四毒抜き」は必須。なぜなら、慢性的な炎症が免疫を弱めるからです。 また、免疫抑制剤使用者は発疹・痛みなどの初期症状を見逃さず、早めに医療機関を受診することが求められます。
- 日常的に「睡眠を十分にとる」「ストレスをためない」「過度の疲労を避ける」「栄養バランスを見直す」ことが重要です。
まとめ
帯状疱疹は単に「年を取ると出やすい皮膚病」として捉えるのではなく、「潜伏ウイルス+免疫の隙=再活性化」というものでした。特にリウマチなどで免疫抑制剤を使っている人は、「なぜ自分が帯状疱疹になりやすいのか」を考えなければなりません。
私たちの生活環境・医療環境が変化している今、「自分の免疫とウイルスの関係を知る」ことが大切だと感じました。