昨年すでに速報が出ていたNETTER―2試験の詳細報告が、ASCOのGI24(消化器がんシンポジウム)でなされました。PRRT治療の有効性を改めて示すものです。

進行消化器神経内分泌腫瘍の1次治療でルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)とオクトレオチドLARの併用が高用量のオクトレオチドLARより死亡または増悪のリスクを72%低減【ASCO GI 2024】:がんナビ (nikkeibp.co.jp)

 

詳細は上記の記事の通りですが、特に重要なポイントとしては、

一次治療として、ソマトスタチン受容体陽性のG2、G3の患者を対象にルテチウムオキソドトレオチドとオクトレオチドLARの併用療法vs高用量オクトレオチドLARを比較したもので、前者が病勢進行及び死亡リスクを72%も減少させた。

無増悪生存期間中央値は22.8ヵ月vs8.5ヵ月

客観的奏効率43%vs9.3%

 

このように、一次治療としてルタテラの有効性がはっきりと認められました。

報告者Simron Singhは、これは早い段階での177Luの使用を支持する結果である、としています。

予想通りではありますが、とてもいい数字です。NETTER-1試験は中腸NETの、しかもG1,G2が対象でした。今回のNETTER―2試験はNETのG2,G3が対象という点も特徴的で、今後の治療の順序・有効性の判断にもかかわるとても大きな研究結果です。

 

またこれら以外に発表直後のニュースでは言及されていないものの、twitter(a.k.aえっくす)でGI24に参加していた医師たちがアップしている報告画像やLACNETsのインタビュー動画で個人的に気になっていた点が。ASCOのページでその点についての言及がありました。それは、NETTER-2試験の今後についてです。こんなことが最後に書かれています(適当翻訳)。

 

・安全性と全生存期間についての追加データを今後も収集する。

・この研究の患者たちは、病勢進行を経験した後、特定のプロトコル基準(protocol criteria)を満たしていることを条件に、任意にクロスオーバーか再治療のフェーズに参加するオプションを持つ。

NETTER-2 Lu-177 Dotatate for Advanced Gastroenteropancreatic Neuroendocrine Tumors - The ASCO Post

 

全生存期間と長期的副作用の確認はそりゃそうですよねという話として(時間差でくる副作用が一番怖い)。NETTER―2試験では、この後のPRRTの再治療も予定に組み込まれているようです。

英語を聞き取るのがかなり苦手なのですが、以下のLACNETSによるインタビューでもこの点について触れている様子。

https://youtu.be/4MJMl1HeQIE

 

4回セットのPRRT治療が終わった後、再度のPRRT治療はあり得るのか?この点については僕も含めて患者として非常に気になるところです。後ろ向き研究ではかなりの程度有効性が指摘されているようですが、日本のような治療が堅実な(≒かたい)国で実臨床に向かわせるような十分な研究はまだありません。日本の場合は保険上どうなっているのかがそもそもよくわからないうえに、PRRTが認められたのがそもそもごく最近ということで再治療については一定規模の後ろ向き研究すらないと思われます。保険診療でやれるのかやれないのか、効果は期待できるのかできないのか、医師・病院によって言うこと・やれることが結構違っている印象です。

既にPRRTをやっている身としては、PRRT再治療の試験、データ収集ももっともっと進んでほしいものです。

 

 

年末まで忙しかったり、その後は結構体調を崩したままだったりでようやく多少?元気に。

昨年はネット上で患者としてしゃべりだした関係で、同世代(アラフォー世代)の同病者さんやご家族さんと個人的にチャットでおしゃべりする機会を持てたりもしました。同病者同士だから必ずしも仲良くなれるわけではないでしょうし、必ず必要であるとも思いませんが、ひとりぼっちじゃないと思えるのはよいものですね。

今年一年もできるだけ楽しく過ごしていきたいと思います。つらいこともあるけども、頑張ろうアラフォー患者たちよ。