PRRTにかかわる重要な臨床試験のプレスリリースが出ました。

 

進行消化器神経内分泌腫瘍の1次治療でルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)とオクトレオチドLARの併用が無増悪生存期間を有意に延長:がんナビ (nikkeibp.co.jp)

 

グレード2,3でSSTR陽性の膵消化管神経内分泌腫瘍GEP-NETsの患者を対象にした第三相試験(NETTERー2試験)の報告です。シンプルにいうと、PRRTを一番最初の治療に使うことの有効性が示されたようです。

 

ノバルティス社のプレスリリースは以下。

Novartis radioligand therapy Lutathera® demonstrated statistically significant and clinically meaningful progression-free survival in first line advanced gastroenteropancreatic neuroendocrine tumors (GEP-NETs) | Novartis

 

 

NETTER-2試験が与えるであろう治療への影響については、以下の肱岡範先生の講演録に出てきます。NETTERー2試験の結果次第では、一番最初の治療(一次治療)としてPRRTが使えるようになってくるかもしれない、と。

なぜPRRTほどの優れた治療をファーストラインでやらないのか?という話がこれまで当然ありました。しかし、PRRTの承認に重要な役割を果たした第三相試験、NETTER-1試験は一次治療ではなく既にほかの治療をした患者を対象としたものであったため、ファーストラインで使うことを認める根拠にはなれていませんでした(日本の場合にはエビデンス以前にそもそも施設不足の問題がありますが)。NETTERー2試験の結果はその状況を変えるかもしれません。

神経内分泌腫瘍の新治療・PRRTとは?:がんナビ (nikkeibp.co.jp)

 

詳細な報告はまだのようですが、神経内分泌腫瘍の治療のあり方がまた一つ発展するかもしれません。もちろん、日本の場合はまず、PRRTをやりたい人がやれる体制づくりが必要になりますが。

なお、PRRTがハイグレードの患者にどれくらい効果があるか、という点もPRRTをめぐる議論ではされていたように思いますが、このNETTER-2試験はグレード2,3の患者向けとのこと。まだこの点についてのコメントや議論はプレスリリース後見つけることができていないのですが、興味があります。