【忘れもしない8月22日】

娘、小学五年生夏休み終盤。

その日は突然に来た。





私は仕事から帰り、すぐにご飯の支度をする。

娘は、友達の家に遊びに行ってるようだ。
門限の時間までには帰ると言ってた。


俺様は休みだったが、いつも通り、書斎から出てこない。


真夏日、とてもとても暑かった。

この日の夕食のメニューは、トンカツ。
俺様の好物メニュー。


汗をポトポト垂らしながら、トンカツを揚げていた。


 


俺様がキッチン横に立っていた。

換気扇の音で足音が聞こえなかった。

マジでビックリした。



じーと立って、私を見てる。


汗をポトポト垂らし、タオルで拭きながら、トンカツを揚げてる私をじーと見てる。


こんな事は珍しい。








「俺と別れてくれ」


換気扇を止めていてので、今度は聞こえた。



「今ね、揚げ物してるから、大事な話になると思うから、後でゆっくりしない?
歩葉もそろそろ帰ってくるでしょう?」



「揚げ物と俺様の話しと、どっちが大事なんだよ!」



確かにね。

でも、トンカツは熱々じゃないと食べないでしょう?

なんて毒づきながら

油の中から豚さんを救い、火を消してソファーに座る。


妙に真剣な顔で

「俺様は、お前と結婚したせいで不幸だ。
今までもこれからも、お前といたら不幸だ。
だから、俺様と別れてくれ!」







おー!
言ったよ、言っちゃったよ!


この言葉を待っていた。

ちゃんと、スマホにも録音したよ。






「離婚する事には同じ意見です。
色々と…今後の事はどう考えてるの?」

背筋を伸ばして聞いてみた。



「歩葉は、俺様は見れない。
この家に住んで良いから。
悠月の収入でやれるだけやってみてくれ。

悠月の生活の基盤が出来るまでは、俺様が一緒に住んでやるよ」

上から目線で、良い人アピールか?





・親権は私。

・養育費の変わりにこの家に住んで良い。

・この家のローンは自分が払っていく。

・月に一度、俺様がこの家に来て面談をさせてくれ。

・土日、私が仕事の時は、俺様も俺様のお母さんも娘を見て協力する。

・娘が20歳になったら、養育費も終わりだから、この家から出て行ってもらう。
それまでに、お金を貯め、残債を払えたら悠月名義に変更してやって良い。

・財産はないから分与なし。家財道具は、車以外全部置いて行く。







これが、最初、俺様が提示した離婚の条件。


俺様なりに考えたんだろうね。



離婚はしたい。
でも、娘を育てて行くのは無理。
金は一銭も払いたくない。

でも、住宅ローンは払わないといけない。
なら、相殺で養育費払ったことにして、
娘が20歳になったら、嫁に売りつける。
協力する目的で、(良い時だけ)娘とも会える。

家財道具は、ほとんど結婚当初に買った物ばかりだし、嫁にくれてやる。 
俺様は新品買う。



そんな都合の良い考えが、見え見えだよ?


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