144ページ

適応主義論争前史

「適応主義とは、一言でいえば、生物

が持っている形質の由来を自然選択に

訴えて説明するという方法論である。」

 

ダーウィンこそ適応主義の元祖とされて

いると思うのですが、ダーウィンは自然

選択だけでは進化は説明できないと考え

ていたそうです。

 

155ページ

「彼は独自のパンゲネシス説というものを

提起して、用不用に基づき後天的に獲得さ

れた形質が次世代に遺伝し固定されるとい

うラマルク説の考えを裏付けるような実質

的なメカニズムを提供しようとした。

すなわちゲンミュールという微小粒子が

動物の体から放出され、これが体内の異な

る諸器官に、それらが用不用によって後天

的に発達した程度に応じて分配される。

そして生殖細胞形成の時期に、逆にそれら

の器官に蓄積されていたゲンミュールが

放出され、それが血流を介して生殖細胞に

流入する。

かくして次世代の子は、親の後天的な環境

適応に応じて各器官に分配された

ゲンミュールを継承し、それを基にして

新たな諸器官の発達の度合いが決定される。」

 

このパンゲネシス説は現在では信じられて

いないようですが、獲得形質が遺伝するという

主張はよく聞きます。

獲得形質が遺伝するというのであれば、

パンゲネシス説に代わる詳細な説明が必要な

はずです。