弁護士 土谷喜輝のブログ

平成27年度から大阪弁護士会副会長に就任することになり、会員や一般の方への情報発信のためブログを開設しました。副会長は終わりましたが、ブログは継続することにしました。
ここで書いている内容は弁護士土谷喜輝の個人的な意見です。


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 先日、大阪地裁で、1対1のメールも公文書に当たるとする判決が出されました。

 NHK 関西 News Web

 大阪市の情報公開条例では、公文書とは、

 (1) 職員が職務上作成または取得したもので
 (2) 職員が組織的に用いるものとして、実施機関で保管しているもの

 ということになっています。

 大阪市は、1対1のメールは、(2)の要件を充たさないと主張したのだと思います。しかし、大阪市のメールアドレスを利用してメールをしていたのであれば、大阪市に保管されているということになりますし、メールで職務上のことを書くことも多いはずで、1対1のメールだから「組織的ではない」というのは、無理があるように思います。

 このような裁判になる前に、大阪市情報公開審査会で審査されているはずですが、そこでも1対1のメールは一律に公文書ではないという判断を認めたんですね。大阪弁護士会からも委員を何人か出しているのですが、そこでどのような議論になっていたのかは興味があります。
 
 審査会の委員が、橋下市長のためにと考えて非公開と決定することはあり得ませんが、「1対1のメールを全て公開請求されていたら、開示の事務手続きが大変」という職員のことを少し考えたのかもしれません。

 私も、以前、大阪市個人情報保護審議会の委員をしていましたが、膨大な個人情報の開示請求に対しても、大阪市職員の方は真面目に、1つ1つ、個人情報に該当するかどうかという事務作業をしていて、気の毒になることもありました。

  「1対1のメールは一律に公文書ではない」と言ってしまえば楽かもしれませんが、やはり、公文書は役所のものではなく国民のものであるということを考えて、判断すべきだろうと思います。
 
 今回の判決も、公文書には該当するけど、個人情報が含まれている可能性もあるとして公開自体は認めなかったようです。しかし、本来は、個人情報が含まれているかどうかを個別に見て、部分開示されるべきだろうと思います。


 
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 このブログで三菱自動車の燃費偽装について書いたところ、「弁護団はできないのか」という問い合わせを複数受けていました。

 1人1人の被害額が少なく、弁護団を作っても、手間ばかりかかるということなのか、どこも被害弁護団を作る動きがないので、消費者問題に詳しい弁護士らに声をかけて、本日、被害弁護団を立ち上げました。団長は、私が大阪弁護士会副会長のときの会長であった松葉先生(消費者問題を長年、取り扱っておられます)に無理を言って、お願いしました。

 消費者契約法の取消の期限があるので、まず、消費者の方で、ekシリーズ、デイズシリーズを新車で購入した方に対象を絞っています。詳しい情報は、以下の弁護団サイトを参照してください。

 http://mitsubishi-higaibengodan.com/

  三菱は、1人1人の被害額が小さいから、誰も個別に請求してこないだろうと考えて、一律10万円で終わらそうとしているのかもしれません。しかし、そのようなことを認めると、今後も、このような不正事件はなくならないと思います。この弁護団の立ち上げが、被害者救済とともに日本企業のコンプライアンス遵守に少しでも寄与すればと思っています。
 



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 日本では未だ正式に開始されていないのですが、先にサービス提供されている米国では、Pokémon GOがすごい人気のようです。

 Pokémon GOは、GPS機能のあるスマホなどを街中に持ち出して、遊ぶゲームですが、現実社会の中にポケモンが現れて、それをゲットしたり、戦ったりしていくようです。米国のニュースを見ていると、ポケモンが現れるという場所に多くの人がスマホをかざしながら歩き回ったりしていて、少し異常な光景でした。

 米国では、他人の敷地内にもポケモンを表示させるので、所有権を侵害するのではないかとか、現実社会の所有権は、そこに表示されるキャラクターの知的財産権にまで及ぶのかなどが既に議論されています。同様のゲームが出てきた場合、同じ現実社会に複数のゲーム上のキャラクターが重複して表示される可能性もあり、その際の優先権なども議論されています。

 スマホをかざしながら、ポケモン探しに夢中になっていたら、人にぶつかったりして事故になることは容易に想像できますし、米国では、車を運転しながら、ポケモン探しをしている人もいるので、大きな事故も起きると思います。

 また、現実社会とゲーム上の表示の区別ができなくなる人も出てきて、傷害事件なども起きるかもしれません。

 任天堂は、利用規約で責任を負わないと書いているようですが、それだけでは法的責任を免れられない場合も出てくるかもしれません。

 ゲームの現実社会への拡張という意味では面白い試みですが、色々と事故・事件が起きそうです。
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 Googleに自分の名前を入れて検索すると5年ほど前に児童買春で罰金刑になった事実が表示されていた男性が、Googleに対し、この検索結果の削除を求めていました。これに対し、さいたま地裁は、昨年12月、男性の「忘れられる権利」を認めGoogleに削除を求める仮処分決定を出していました。

 Googleは、この決定を不服として抗告していたのですが、昨日、東京高裁がこの地裁決定を取り消したようです。

 判決文を見ないと何とも言えませんが、報道によると、東京高裁は、「社会的な関心が高い児童買春は、5年程度が経過していても公共の利害に関わるもので、検索結果の削除は多くの人たちの表現の自由や知る権利を侵害することになる」と判断したとのことです。罰金刑ということは、犯罪としては、それほど重くなかったということですが、「社会的な関心が高い」ということで、5年も前の情報を公開し続けてよいのか疑問です。

 また、「忘れられる権利」については、「法律で定められたものではなく要件や効果が明確でないうえ、実体はプライバシー権などに基づく申し立てと変わらず、独立して判断する必要はない」と指摘したと報道されています。要件が明確でないから、裁判所が削除が認められる基準を明確にすべきだと思いますが、「法律で定められていない」という理由では、このような新しい権利は全く保護されなくなってしまいます。

 今回の削除請求の対象は、いわゆるGoogleサジェストではないようですので、検索結果を全て削除すると国民の知る権利を害するという理屈は、一応、成り立ちうるので、だからこそ裁判所が一定の基準を明示していくべきだと思います。法制化が進んでいるEUなどと比べて、日本は遅れています。

 話が逸れますが、「日弁連」のGoogleサジェスト第2位は、「左翼」です。




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親しくしているカリフォルニア州弁護士のメルマガで知ったのですが、米国の法律事務所がAI(人工知能)を採用したそうです。

この人工知能は、IBMのWatsonをベースに開発されたROSSというものです。

米国の訴訟では、先例が重視されるので、過去の類似事案を調査することが重要なのですが、その数が膨大で、かなりの時間を取られます。ROSSは、これを人間に変わって行ってくれるというものです。しかも、関連する判例を網羅的に出してくるのではなく、最も関連しそうなものや有利なものを要点をまとめて出してくれるそうです。

これだけでも相当便利そうですが、さらに、現在進行している訴訟の争点について、常時モニターしていて、新たな裁判例が出たら、直ちに教えてくれるそうです。

米国は、日本と違って、ほぼ全ての裁判例が検索可能なので、ROSSのようなシステムのメリットは大きいと思います。日本もそのような方向に近づくべきですが、日本の裁判手続きの電子化は極めて遅れており、AIのメリットは生かし切れない状況です。

ROSSもディープラーニングを実装しているので、自分でどんどん賢くなっていきます。リサーチの結果がどのように裁判に活かされたかを学習させることで、より効率的かつ効果的なリサーチをするようになるでしょう。

今は、リーガルリサーチだけですが、そのうち、より説得的に書面を書く技術や担当裁判官の過去の裁判例を全て調査して、傾向と対策を練るなどということもできるようになるでしょう。そう遠くない未来には、並の弁護士よりも能力の高いロボット弁護士が出てくると思います。

そして、このようなAIの進出は、弁護士だけではなく、裁判官にも進み、先例を漏らすことなく調査したロボット裁判官が正確な判決を出すという日が来るかもしれません。でも、そのロボット裁判官が調査している判例も過去にロボット裁判官が出したもので、結局、ロボット裁判官の価値観のまま裁判が進められ、人間は、ロボット裁判官の価値観に従って行動する、などという想像は、余りにSF的でしょうか?




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