東京の千駄ヶ谷の一角に「将棋会館」という建物がある。「将棋会館」は、将棋指しのプロの団体である「日本将棋連盟」の活動拠点であり、プロの公式戦の対局場として使われている。

東京将棋会館の2階は、席料を千円程度払うことにより、客同士で対局できる空間となっていて、実戦練習をするには格好の場だ。アマチュアの一将棋愛好家に過ぎない自分だが、棋力向上を目指して勇躍ここに足を踏み入れた。プロでもない自分がなぜそこまでやる気になったのか、今となっては理解に苦しむ面もある。まあ「若気の至り」というしかないのだが。

ここでは、この東京将棋会館での記念すべき初対局を紹介する。
お相手の作戦は四間飛車。その対抗策として、当時の自分が最も自信を持っていた「玉頭位取り戦法」を、迷いなく採用した。

本局のポイント:耐えてから、満を持してのカウンター

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【対局日】平成元年11月25日

【対局場所】東京将棋会館道場

【駒割り】平手
【持ち時間】無制限

【対戦相手の棋力】2段

【当方の手番】先手

【戦型】玉頭位取り(vs四間飛車)

【手数】129手

【結果】先手の勝ち

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【第1図】開戦時の局面

https://shogi.io/kifus/258078

 

後手番、しかも振り飛車側から仕掛けられたのには驚いた。最初は無理筋と感じていたが、その後のお相手の攻めは想像以上に手厚く、押し合いの力比べとなっていく。

そんな本局を象徴する一手が、下記の局面で出た。
 

【第2図】勝負所の局面

https://shogi.io/kifus/258079

 

第2図で先手が指した一手は、駒台にあった銀を受けに投入する6六銀。
後手の力づくの突破に対抗する「物量作戦」だった。


その後も後手の必死の攻めが続くが、先手は攻めを慌てずに、しっかりと受けていく。

 

そして、敵陣が乱れた瞬間を捉えて、一気に反撃に出た。
後手も受けの手筋を駆使して粘ってきたが、急所をついた寄せの手筋が炸裂し、一気に寄せ切ることに成功した。

 

=================【昔の記録に書かれた「まとめ」】=================

本局は、将棋会館道場に乗り込んでの記念すべき第1局である。四間飛車に対し、十八番の玉頭位取りを採用して必勝を期した。この日は徹底的に受け切る覚悟だったのが幸いした。中盤の激しいモール攻撃に押されずに耐えたのが第一の勝因。またモールの合間に相手の飛角を攻めるアタックルをかけて、揺さぶったのが第二の勝因。最後はチャンスと見て、ウイングにパスを出して一気にトライを奪った。デビュー戦は、上々の出来だった。

(平成3年8月13日)

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当時大好きだったラグビーに例えているのが面白い。確かに、ラグビーを戦っているような気持ちで指していた。

 

【棋譜】

https://shogi.io/kifus/258081


(2024年1月11日)