昨日指した一局から紹介します。

 

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【対局日】2022年7月25日

【対局場所】81dojo
【持ち時間】10分(使い切り後、一手60秒)

【対戦相手の棋力】三段(レーティング1855)

【当方(ytak)の手番】先手

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<序盤>

戦型は角換りから、相腰掛銀になりました。相腰掛銀はプロ好みかつAI好みで、21世紀の流行戦法になっていますが、逆にアマチュアには指しこなすのが難しいと感じられる戦法です。自分もアマチュアのはしくれとして、しばらく振り飛車を指していましたが、今ひとつ勝率が上がらないため、最近は後手番でも居飛車を選ぶことが増えています。本局は、何回か相がかりの将棋を連採した直後だったため、気分転換も兼ねて、角換りに誘導しました。


先手番の当方が最もオーソドックスな形に進めたのに対し、お相手が▽5二金から▽6三金と構えたのが目を引きました(第1図)。

【第1図】

この形、つい最近見たことがありました。

7月20日〜21日の王位戦第3局で、藤井聡太王位が指した形です。構え自体は大昔からある形ですが、最近は逆にあまり見かけなくなっていたため、新鮮に感じていました。


本局のお相手もチェックしていたに違いありません。ただ、先手の構えが、王位戦の豊島九段とは違っているのがどう出るか、本局の見所です。


第1図より▲7九玉と守ったのに対し、間髪を入れず▽6五歩(第2図)。

【第2図】


<中盤>

先攻されて、今ひとつ面白くないと感じていました。
素直に▲同歩は▽同桂▲6六銀▽6四歩で、いつでも▽8六歩があります。このようにモタれられると、こちらからの攻めが牽制されるのが不満でした。

 

よって、攻め合いの▲4五歩を選択。

以下、▽6六歩に▲2四歩の突き捨てで味をつけてから▲4四歩。結局、予想通りモタれられたものの、こちらもすでに踏み込んでいるのが主張でした。

第3図の局面で、手筋を放ちます。

【第3図】

▲2二歩は、この戦型の急所の一つ。どう応対されても、先手から見て損にならない感じです。
例えば、▽同金なら、▲4五桂▽4四銀▲2四飛▽2三歩▲3四飛と暴れるつもりでした。次の▲4四飛と▲3一角を同時に受けるのが難しく、先手十分といえそうです。

 

本譜の▽同銀は、先手の▲4五桂のあたりを事前に避けられる分、手堅く見えますが、それでも▲4五桂と跳ねていくのが狙い筋。お相手の次の指し手が楽しみでした。

お相手は、▽7五歩と攻め合いに来ました。攻めとしては鋭いのですが、7四にスキができたので、チャンス到来と見ました(第4図)。
【第4図】

次の一手は▲6五銀直。

▽同銀は▲同銀▽同歩に▲5五桂が急所で、先手ペースの戦いと思います。以下、▽5四銀には▲4三銀▽同銀▲6三桂成(おしゃれな一手)▽4四銀に▲6四角で決まりそうです。

 

よって▽同歩でしたが、空いたスペースに叩く▲6四歩が強烈。▽同金は▲7三角、▽6二金でも▲7四桂の、いずれも飛車金両取りがかかっては、痛すぎます。▽7三金はやむを得ません。

しかし、▲7一角が入りました。飛車取りと見せて、実は5三地点を狙います。先ほど跳ねた4五の桂馬との協力で、敵陣を崩すのは時間の問題となりました。

 

以下、だいぶ進んで第5図。途中、当方が疑問手を指したため、混沌とした局面となっています。
【第5図】


 

<終盤>

▽3一金と龍を「詰ませた」のが好手で、ついに逆転されたな、と感じました。先手の戦力では後手玉を寄せるのに一枚足りない感じだったからです。開き直って、ほぼノータイムで勝負、勝負と踏み込みました。

 

▲5五桂▽5三玉▲4五桂▽6二玉▲5三金▽7二玉▲6三桂成▽同金▲同金▽同玉と剥がして、▲6四歩とした局面。次の一手が疑問手でした。

【第6図】

ここで▽7三玉とされていたら、後手の勝ちだったように思います。

その局面で、後手玉に詰めろをかける手が見つかりません。

▲5三桂成が最有力な迫り方ですが、▽2一金と飛車を取られると、自動的に先手玉に詰めろがかかってしまうため、完全な逆転負けとなります。

 

本譜は▽同玉だったため、▲5五銀▽7三玉▲6四金▽8二玉と寄せの手がかりを置いた後に、▲6六銀と一旦、相手の種駒を除去しました。巧妙に指したようでしたが、実は疑問。ここで▽2一金と飛車を取られていたら、やはり後手の勝ちでした。

▽6六同歩に▲3一龍と切ってギリギリ繋がり、再逆転。受けなしに追い込んだ第7図で、後手は先手玉を詰ますしかありませんが・・。

【第7図】

▽6八銀からラッシュされましたが、わずかに足りませんでした。

第7図では▽4七角の勝負手が嫌でしたが、わずかに足りないようです(アプリで検証していないので、あくまで当方の読みですが)。

 

<総評>

上手くいったと思っていたのですが、寄せをグズったので、逆転負けを喫するところでした。

最後は勝負術を使って、ドサクサ紛れに勝ちを拾った感じです。

仕掛け直後の応酬は、今後の対局でも参考になりそうです。


参照【棋譜】