順番が逆になりますが、三段に復帰する前日に指した将棋の中で、比較的うまく指せた一局をご紹介します。

 

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【対局日】2020年11月7日

【対局場所】81dojo
【持ち時間】10分(使い切り後、一手30秒)

【対戦相手の棋力】二段(レーティング1784)

【当方(ytak)の手番】後手

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<序盤>

最近流行の初手▲56歩からの中飛車に対し、真正面から対峙する指し方を選択した。お互いの飛車が中央で向かい合う「相中飛車」は、女流棋士の対局でたまに見かける。

 

後手番の当方は、オーソドックスな美濃囲いから、守りを固める堅実な作戦を選択
先手番の相手は、囲いをそこそこに、美濃囲いの弱点である端や玉頭の歩を伸ばし、サポート役として金をオーバーラップしてきた。
 

【第1図】(▲87金まで)

 

<中盤>

第1図より、△84歩▲86金△85歩▲同金△84歩▲86金と懐を広くして備えたが、先手は怯まず端から攻めてきた。

 

自玉に近いところでの戦いは流れ弾の危険が大きいため、後手は駒交換を極力拒否する辛抱を続けていく。しかし先手もその間に着々と攻めの態勢を整えてきた。そして攻め駒の勢力の強い5筋から、第2波の攻めを開始してきた。

 

【第2図】(▲54歩まで)


第2図が本局の勝負所。

ここで△13角が、好手だった。先手は歩切れになった瞬間なので、後手が狙う△79角成を防ぐのが難しい。

 

本譜の▲55飛は疑問手だったかもしれない。▲85歩からの玉頭攻めに期待したようだが、それよりも、△68角成〜△67馬と、攻めの主力である角を責められる手の方が早いのが痛い。

 

やむをえず、▲84角と勝負にきたが、一目無理攻めの印象。後手は馬を駆使して、B面攻撃に徹する。

 

<終盤>

第3図は、先手が「勝負」と踏み込んできた所。ここで後手は決めに出た。

【第3図】(▲53歩成まで)

 

第3図以下、△57馬▲同金△88飛▲58歩△65桂で、後手勝勢。

 

▲79金と抵抗するも、落ち着いて△86飛成と金を取っておく。

続く▲54銀では、▲67金と逃げた方が、直前の▲79金と連動して粘れたようだ。本譜は、△57桂成▲同歩△58金で一手一手の寄り筋に入った。先手には受ける手段がない。

 

<総評>

先手中飛車は、最近プロ棋戦でも採用率が高くなっています。優秀な指し方と評価されているからでしょう。

自分も決定的な対抗策が見つからず、毎回苦心していますが、相中飛車にするのが自分にとってはわかりやすいと感じています。

 

但し、相中飛車の後手側はどうしても受け身になりがちです。そのため、攻め将棋の棋風の方が、後手番で相中飛車を選択するのは、あまりお勧めできないかもしれません。

棋譜:

 

 

(2020年11月14日)