12月28日
その日は今年最後の出勤日だった。
もう業務はなく、朝から従業員一同大掃除。
そんな大掃除の最中に悲劇は起こった。
未だに私の心は癒えることはなく、3日経った今でも私の心は悲しみの深淵に沈吟し続けている。
しかし、今年も残り数時間。
ここで昇華させねば年を越せぬ。
気が滅入りケイタイで文字を綴る指が重いが、ここで少し私の気鬱を吐き出したいと思う。
職業柄、ボロ布をよく使う。
ウエスとも呼ばれるが、私のそれはボロ布と表現した方がお似合いである。
ホームセンター等でウエスを購入する人も多いが、貧乏性の私は家で使い古したタオルやシーツ、衣類などを適当な大きさに切り刻んで使用している。
綿のTシャツなどは、吸い込みも良く重宝する。
大掃除のその日、会社にある雑巾が不足していた為、私は自分の車にあったボロ布をいくつか引っ張り出し提供した。
ボロ布と言っても、ちゃんと洗濯済みのそれらは掃除に使用しても何ら問題はない。
大掃除も中盤に差し掛かった頃、事務員さんが嘆息を漏らした。
何か問題発生だろうか?
ちょうど近くに居た課長と私が駆けつける。
私が「どうしたの?」と尋ねると、事務員の女の子は書類キャビネットの上にあるボロ布を指で軽くつまみ上げた。
?????
困惑と軽蔑が入り混じったような空気。
これはきっと虫の死骸などがあったのだろう。
女子は総じて虫の類が苦手だから。
これは、私の出番だな。
と思っていたら、広瀬すず似で22歳、入社したての可愛い事務員さんが竹野内豊似のイケオジで私のドドドタイプの課長と私に事の経緯を説明し始めた。
見てください、このボロ布!
誰かのTシャツだと思うんですけどぉ、コレ!
脇のところなんですよぉー。
嫌じゃないですかぁー。
気持ち悪いし。
どぉしようと思ってぇ・・・
それに対し、課長
うわぁ!本当だね。
気持ち悪いね。
嫌だよねぇー。
真ん中に佇む私。
私は、なんの助言も賛同の声もあげられずにいた。
私を挟んだまま2人の会話は続いていく。
うーん、でも、雑巾もう他に無いし、
こうやって、脇の所が触れないようにすればいいですかね。
なんて言いながら、上手いこと脇の部分が内側になる様に器用に折り畳んだ・・・ウンコのついたパンツを触るかの様な手つきで。
えー、もう捨てなよ。気持ち悪い。
なんでそんな脇のウエスがあるんだろうね。
触らない方がいいよ!
なんて、2人が気持ち悪いだのなんだの言ってるから、他の人達まで集まって来て、また脇のボロ布の説明が1から始まり、女子からは悲鳴めいた声が上がり、男性陣からも汚ねぇだの気持ち悪りぃだの非難の声が殺到した。
相変わらず私はその渦中の そのまた ど真ん中で口を噤んでいた。
口を噤んでいたというより、唇を噛み締めていた。
唇を噛み締めて涙を堪えていた。
だって それ ユンボさんのTシャツだもん!!!
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ブログにも幾度と登場してるお気に入りだったホンダのTシャツだもん!
5年くらい、夏はこれ一択だったもの!
昔からブログ見てくださっている方なら見覚えあるでしょ?!![]()
もちろん、それがユンボさんのTシャツなんて誰も知らない。
知ってたら虐めに他ならない。
おそらく、
"購入したウエスに混入していた着古したTシャツの脇の部分"
これが皆の認識であったと思う。
ところがどっこぉーーーい、違うんだな!
俺のなんだな!!!
途中で、面白可笑しく 「それ私の!ꉂ꒰笑꒱」ってオチにして狙ってこう思ったけど、あまりにリアルな気持ち悪がられ方にユンボさんハートブレイクしちゃって言えんかった。
相手も本気モードだから、ユンボさんがカミングアウトしたら、笑いより罪悪感の方が勝って居た堪れない雰囲気になる思った。
いや、こちとら端からブッチギリで居た堪れないんだけどね。
綺麗なの!
洗濯してあるの!
皆んなが言うほどユンボさんの脇は汚くないの!
お気に入りのTシャツだったの!
本田のレッドウィングなの!
赤い翼の天使なの!
いや、ちょっとユンボさんに着られて堕天使的に穢れちゃったかもしれないけど。
でも、ちゃんと洗ってあるの。
そんなんTシャツ(本田)も可哀想すぎるて!
ヨレヨレになってもなかなか捨てられなかったTシャツ(本田)。
それでもウエス(もうボロ布なんて呼ばない)として第二のTシャツ人生を最期まで全うしてくれればと思って、泣く泣く切り刻んでウエスにしたの!
ウエスとして使われることもないまま軽蔑され、暴言を吐かれ捨てられる、そんな事が許されていいわけないじゃない。
若くて可愛い女の子、好みのタイプの上司、仲の良い同僚から発せられる言葉だからこそ、余計心に突き刺さる。
世界の全てに拒絶されたような気分だった。
居た堪れないまま、ど真ん中で立ち竦む私を尻目に一同捨てる合意が成された。
そんな中でも、私は自分の保身のために黙秘を続けた。
最期のお役目を全うできないまま亡き物とされる本田に手を差し伸べる事ができなかった。
本田を庇ってやれなかった。
本田には私しかいないのに。
皆と一緒に謗ることはしなかったものの、否定しないのは肯定と同義であると誰かが言ってた。
本田の未練を、悔しさを理解していながら、私は自分の保身に走り本田を見捨てた。
ゴミ箱に投げ入れられる寸前、サッシのレールに転がっていたカメムシの死骸を事務員の女の子は涼しい顔で本田で掴み、本田に丸めてた。
一方の私は涼しいどころの騒ぎではない。
心にブリザードが吹き荒れていた。
カメムシは、平気なのかよ、
本田はカメムシ以下なのかよ、、、
本田つっーか、私の脇か・・・
そっか、
そっかーーー。
まぁ、価値観は人それぞれだしね。うん。大丈夫。
自分に言い聞かせた。
その後、皆の目を盗んで私はゴミ箱から本田を救出した。
あのまま見捨てる訳にはいかなかった。
今思えば、本田というより私は私自身を救済したかったに違いない。
私が心を傷めたのは、周りからの軽蔑や非難の声でも、本田を慮ってのことでもない。
本田を守れなかった愚かな自身に絶望して傷心していたのだ。
本田を回収する事により、自己批判を免れることができると思ったが、これまた浅はか。
どこまでいっても私は利己的で愚かな人間だ。
来年は、そんな自分から卒業したい。
群衆の声に埋もれることなく、自分を裏切らず、なりたい自分になりたい。
いついかなる時も声高らかに宣言したい。
私の脇はそんなに汚くないのだと。
回収してきた本田
脇の部分
ここを見せつけられてキショい言われた![]()
尾知も興味津々
めっちゃ嗅ぐよね。
お気に召したようで、上に寝転び始めた。
私も本田も少し救われた。
救いの手は思いもよらないところから差し伸べられることもある。
猫の手は、救いの手![]()
ありがとう。
1度は世界中が敵に見えたけど、今なら世界中にありがとう![]()
皆様、良いお年を![]()
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大晦日だし、4日ぐらいお風呂入ってないから今日ぐらい風呂入ろうかな![]()
鶴橋 ユンボ









