仕事から帰宅すると珍しく一也の部屋の灯りが点いていた。
いつもは20時ごろには就寝する一也が24時に起きているわけがない。
消し忘れかと思い、そっと消すと、
「ちょっといい?」
と呼び止められた。
そう言えば、明日は大きな病院に紹介状を持って行く日だ。
やめてくれ。
何らかの大事な話をする為にこんな時間まで私の帰りを待っていたとでもいうのか?
遺言でも残すつもりか?
やめてくれ。
そんな話は聞きたくない。
家族の前で泣くなんてごめんだ。
優しい言葉なんてかけれない。
何を喋ったらいいのかわからない。
すると、一也が茶封筒を差し出してきた。
遺言状? お金?
やめてくれ。
と思ったら、警察署の拾得物の書類が入った封筒だった。
どうやら一也はお金を拾って交番に届けたらしい。
で、持ち主が現れなければってやつの書面。
それと
銀行のキャッシュカードと暗証番号を書いた紙。
あとは頼むね。
お金はこの通帳に入ってるものしかなくて、少なくて悪いけど。
話はそれだけだった。
金のことなら心配いらない。
どうとでもなるでしょ。
と答え、とりあえず、渡されたものは預かった。
一也は、明日 朝から大きな病院に行く。
私も行こうと思えば行けるけど、多分行かない。
感情や愛情を表に出すことは苦手だ。
私とは正反対の姉は感情どストレートでど素直だ。
表立って接するのは姉でいい。
姉がいい。
私は何不自由ない様にサポートする役目。
それでいい。それがいい。
でも、いつも素直になれない自分に後悔するんだ。
立派な中年になっても、未だ思春期。
一生思春期。
鶴橋ユンボ

