親などから贈与を受けた場合、原則的な課税制度では贈与税額が大きくなってしまうというデメリットがあります。

 そこで、多額の贈与をした時に、贈与税の特例制度として『相続時精算課税』という制度があります。

今回は住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例について説明します。


1.特例の内容

 20歳以上である子が親から住宅取得等資金の贈与を受け、その資金を贈与を受けた年の翌年3月15日までに一定の家屋の取得又は一定の増改築に充て、その家屋に同日までに居住する場合、または同日後遅滞なく居住の用に供した場合には、相続時精算課税を選択することができ、原則の相続時精算課税の特別控除額の2,500万円の他、1,000万円(最大3,500万円)の住宅資金特別控除額を控除することができます。

 この特例は原則の相続時精算課税と異なり贈与者である親が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。

2.特例を受けるための手続き

 この特例の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、登記事項証明書、耐震基準適合証明書などの書類を添付して、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに申告する必要があります。
  ただし、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与を受けた住宅取得資金等について、「5分5乗方式」の住宅取得資金等の贈与の特例の適用を受けた人は、その贈与を受けた日の属する年の翌年以後4年間は、その贈与に係る贈与者からの贈与について、相続時精算課税を選択することはできません。








今回は相続時精算課税制度のメリット・デメリットについて説明します。

①メリット
1.相続税が課税されない人についても生前に贈与ができる
 日本全国で、亡くなった方の相続税の課税対象となる方は、約5パーセントという統計があります。
 つまり残りの約95パーセントの方は相続税が発生していないということになります。
 住宅取得取得資金の相続時精算課税制度では原則課税の110万円よりはるかに多い3,500万円という非課税枠を使うことができるようになりました。子供に対しての援助がしやすくなり、ゆとりのある人生設計が可能となりました。

2.生前に円滑な遺産分割・事業承継が行える
 原則的課税方法と比較し、贈与税の負担を気にせずに生前中に財産の整理が行えるため、親の意思で子に円滑な財産分割・事業承継が行えます。
 
3.将来値上がりすることが見込まれる財産の贈与
 相続時精算課税制度は、相続の際に贈与した時点の時価で相続税を精算するため、贈与後に値上がりした場合でも、贈与時の安い金額をもとに計算した相続税となります。

4.収益物件による親の財産形成を防止できる
 収益が期待できる財産を生前に子供に贈与することによって、親に財産が蓄積されず、収益は子供に行くため相続税の負担を軽減し、納税資金に役立ちます。

②デメリット
1.子供から贈与を要求される
 贈与税の負担が少ないため、子供からの贈与の催促が増える可能性があります。

2.財産が値下がりしたとき
 メリット3の内容と反対に値上がりが見込まれた財産が値下がりした場合、贈与税が贈与時の高い金額をもとに計算した金額となるため、納税資金に問題が生じます。


 

 親などから贈与を受けた場合、原則的な課税制度では贈与税額が大きくなってしまうというデメリットがあります。

 そこで、多額の贈与をした時に、贈与税の特例制度として『相続時精算課税』という制度があります。


1.相続時精算課税制度とは

 65歳以上の両親から20歳以上への子供への贈与をした際に、現行の暦年(1月1日から12月31日までの1年間)単位による贈与税の課税方式に代えて、相続時精算課税制度を選択することができます。

 相続時精算課税制度では、贈与時には2‚500万円を超える贈与について、一旦贈与税を課税し、その後、相続があった時に前払した贈与税を精算することができます。

 相続時精算課税制度を選択するためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書と当該制度を選択する旨の届出書を、税務署に提出しなければなりません。

 なお、一度この制度を選択してしまうと、取りやめることはできませんので、選択をする際には、細心の注意を払う必要があります。


2.適用対象者


 この制度を選択する場合には、贈与者はその年の1月1日において65歳以上の者であり、かつ、受贈者は、同日において20歳以上の贈与者の子(推定相続人で直系卑属)である必要があります。


3.適用手続


 この制度を選択しようとする場合、受贈者は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄の税務署にその旨の届出書等を提出しなければなりません。

 その贈与者以外の人について、相続時精算課税の適用を受けようとする場合は、上記の期間内に、新たに届出書等を提出する必要があります。

4.税額の計算等

 相続時精算課税に係る贈与税額は、贈与者ごとの相続時精算課税に係る贈与税の課税価格(贈与を受けた金額)から2,500万円までの特別控除額(既に特別控除を適用した場合には、その適用した金額を控除した残額)を控除した後の金額に、20%の税率を乗じて計算します。


【例】 住宅資金3,000万円の贈与を受け、相続時精算課税を適用する場合

 

 3,000万円-2‚500万円=500万円
 500万円×20%=100万円(贈与税額)


 2‚500万<3,000万円 ∴2‚500万円


次回は住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例について説明します。