奇跡の喜びと初めての妊娠の不安と彼に対しての不安

毎日シーソーのように揺れながら過ごしていた。


病院が苦手な私は、アパートから通える助産院を探し

助産師さんに相談して

自宅出産を希望した


両親や親戚には反対されたけど、病院でも定期的な検査があることや妊娠中の母子が健やか(正常分娩)できると病院の医師と助産師双方が判断した場合のみ自宅出産できること、そして分娩中の万が一は大きな病院に搬送されること

などを説明し、理解してもらった。



自宅出産を希望したのは、病院が苦手プラス

立ち会い出産ができたら(タイミングが合えば)彼に父親としての芽生えになるかもしれない、という期待もあった。



どれくらい病院が苦手かというと…

病院でも助産院でも血圧を測るのだけど

病院だと血圧が120、130のときもあり、医師に「妊娠高血圧に気をつけてくださいね」と言われ

助産院で測ると100前後で正常値。
「よっぽど病院が苦手なのねえ」と笑われたくらいだった。



自宅出産をしたかった私は、妊娠中にしたら良いことややめたほうが良いことをいろいろ調べ、なるべく取り入れるようにした

今まで腹巻きとは無縁の生活をしていた私が、冷やさないように腹巻きをしたり、体重管理のための食生活を心掛けたり、もちろんアルコールは一切やめて、安定期に入ってからは電車で2、3駅の距離は歩くようにしたり。



幸い、つわりが酷くなかったので生活にはあまり支障がなく

自宅出産に向けて準備をすることができた。



ある朝、AM6時

アパートのチャイムが鳴った


出てみると彼のお母さんだった


寝起きの彼と私は急いで着替え、上がってもらった


彼のお母さんの開口一番

「お母さんが精神病なのに、あなたはまともな赤ちゃんを産めるの⁉️」




寝起きだったこともあったかもしれないが、突然過ぎてビックリして何も言葉が出てこなかった


そのあとも彼のお母さんは喋っていたが、全く頭に入ってこなかった


開口一番の言葉だけが刺さり、ただただ呆然とした


彼のお母さんは喋り終わるとそのまま帰っていった


彼のお母さんが帰ってから、アパートの部屋には無味乾燥な空気だけが残った。

ショック過ぎて何も言葉にできない私は、淡々と家事をこなし

気まずそうな彼はそのまま外に出掛けていった。




今思うと、彼も彼のお母さんも不安や心配だったのだと思う。

確かに私の母は長年統合失調症を患っているから。
治る見込みもないから。

そして、彼のお兄さん(彼は2人兄弟の次男)も精神的な病いで彼のお母さんとお父さんが支えていたから。


病気の捉え方も人それぞれ

あの頃はショック過ぎたけど、母の行動や言動だけの視点から見てみたら驚くこともたくさんある。

ただ、私や弟が結婚するときの障害になりたくないからと、母は障害者手帳をもらわずに生きてきている人だったから、この朝の出来事は誰にも言わずにいた。

もし結婚するときは、母の病気を理解してくれる人じゃないと私が嫌だから、大丈夫だから、障害者手帳をもらって負担を減らしてね、と何回言ってもそこは譲らなかった母に言えるはずもなかった。


彼にも母の病気のことは早めに伝えていて理解してくれていると思っていたから、
私にとってこれからの未来に、結婚生活に不安を残す出来事の1つになった。



どう解決していいか、どうしたら良いのかわからない私は

そのまま

あの朝の出来事を無かったことにして生活を続けた。