ゴシップROCK★吉原ニューハッスル

右がジョン・エドガー・フーバー、
左がクライド・トルソン




日本でまもなく『シャッター アイランド』が公開になるレオナルド・ディカプリオだが、現在クリント・イーストウッド監督の新作出演へ向けて交渉中であることが明らかになった。



この企画が実現すれば、レオが演じるのは『Hoover』(原題)のタイトルロールである、J・エドガー・フーヴァー連邦捜査局(FBI)初代長官。


約50 年の長きにわたってFBI長官の座に君臨した彼は、自らの権威を悪用し、気に入らない人物を徹底調査しては迫害・恐喝もすれば、マフィアからの収賄もあったと言われ、恐れられた人物。昨年公開されたジョニー・デップ主演の『パブリック・エネミーズ』を始め、映画にもよく登場するが、あまり良いイメージで描かれることは少ない。



生い立ちは謎に包まれていて、同性愛者で女装癖のある服装倒錯者だったという説もあるミステリアスな人物と言われているフーヴァー。


今回、『Hoover』の脚本を担当するのは『ミルク』でアカデミー賞脚本賞を受賞したダスティン・ランス・ブラックは、ゲイであることをカミングアウトしていることから、どんなフーヴァー像が描かれるのかに注目が集まっている。



レオにとっては、イーストウッドとタッグを組むことに大きな意味がある様子。「まだ契約も何も決まってないんだ」と言いながらも、「Entertainment Weekly」誌の取材に「僕はクリントの大ファンなんだ」と答えるあたり、相当乗り気であるのがうかがえる。製作サイドは今年後半のクランクインを目指しているそうだが、ぜひ実現してもらいたい顔合わせだ。


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さらに

フーバーとは



「大統領が恐れた男」「影の大統領」とまでいわれたフーバーは、1924年に29歳の若さでFBI長官に任命されてから1972年に死を迎えるまで約半世紀にわたって専制君主としてFBIに君臨していた人物。


弱小官庁だったFBIを組織改革し、卓越した能力を持つ情報機関に育てあげましたが、一方で、手段を選ばない卑劣さで政治家を迫害したり、大統領を含む政府高官に関する極秘情報を不法に収集してそれをネタに恐喝を行ったり、人種差別でも有名でした。




 ジョン・エドガー・フーバーは、大統領さえも震え上がらせた(あのケネディをも脅したそうです)政界の黒幕ですが、一方で、右腕的な部下のクライド・トルソンとつきあっていて、同じ服を着て、毎日昼食を共にとり、いっしょに休暇を取ってバカンスに出かけ、彼と生涯添い遂げ、同じ墓地で並んで埋葬されました。44年ものパートナーシップを全うしたことは「ゲイのロールモデル」として賞賛されることもあるほどです。





 ただし、さすがはFBI長官だっただけあって、2人がつきあっていたという物的証拠は、何一つ残しませんでした(フーバーは、彼がゲイではないかと口にする者は誰であろうと容赦なく脅迫し、粛正しました)。フーバーがゲイだったという最も有力な手がかりは、フーバーがかかっていた精神科医の妻の発言です。彼女は、フーバーがカウンセリングの最中、ゲイであることを認めたと語っているのです。



 また、フーバーが異性装者(パートタイムの女装家)だったのではないかという噂もありますが、これは信頼できる実証に欠けるため(昔はゲイと言えば女装のイメージでした)、ただの噂だと言われています。



 
 クリント・イーストウッドはここ数年、アメリカで低い地位に置かれているアジア系の少年と朝鮮戦争での禍根を抱える老人との間に生まれる心の絆を描いた号泣作『グラントリノ』や、南アフリカの黒人と白人との間の確執を宥和する奇蹟の実話を描いた『インビクタス』といった作品を発表しています。



そこに共通するのは、互いにいがみあっているマイノリティとマジョリティとが和解し、絆を強めていくという物語です。そのイーストウッド監督がフーバーを映画化するということは、そしてオープンリー・ゲイのダスティン・ランス・ブラックが脚本を書くということは、血も涙もない冷徹な政界の黒幕としての一面よりも、ゲイとしての人間らしい側面をこそ描くのではないかと思われます。(そして、きっとアカデミー賞をねらうことでしょう)




 イーストウッド監督は現在、マット・デイモン主演の超自然スリラー映画『Hereafter』の編集作業中(2010年12月公開予定)ですが、フーバーの伝記映画はその次の監督作になるものと見られています。



 続報を待ちましょう。